8年 国語
- 公開日
- 2025/09/05
- 更新日
- 2025/09/05
日々の様子
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8年生の国語です。
2学期に入り、古典単元の学習に取り組んでいます。
今日は、「枕草子」の暗唱練習をペアで取り組んでいました。
昨年度は、古典についての基礎知識や、「竹取物語」を通して、
古典文学の面白さや魅力について学習しましたね。
今年度は、さらに面白い文学作品です。来年度は、もっと面白い文学作品です。
教科書にはない、古典文学は、さらに面白いです!
どれも、千年以上親しまれているわけですから、当然ですよね!
枕草子とは(文学史)
作者: 清少納言
主な特徴と生涯
清少納言は、歌人として著名であった清原元輔(きよはらのもとすけ)の娘として生まれました。
父や祖父(あるいは曾祖父)も三十六歌仙に選ばれるほどの歌人の家系であり、彼女自身も幼い頃から和歌や漢学に親しみ、
大変利発な女性に育ったと言われています。
「清少納言」という名前は本名ではなく、女房名(にょうぼうな:貴人に仕える女性が名乗った通称)です。
「清」は清原の姓から、「少納言」は近縁の人物の官職名から来ていると推測されています。
宮仕えと『枕草子』:
一条天皇の中宮(皇后)、藤原定子(ふじわらのていし)に女房(侍女)として仕えました。
そこで「清少納言」という女房名を得ます。
定子との関係は非常に良好で、彼女の知性と機知に富んだ人柄は、宮廷で重宝され、多くの人々を魅了したと言われています。
有名な「香炉峰の雪」のエピソードは、この頃の定子とのやり取りで語られています。
定子が後宮で不遇な時期を迎えた際、清少納言は彼女に寄り添い、その慰めのために『枕草子』を書き始めたとされています。
『枕草子』の魅力:
『枕草子』は、清少納言が宮廷生活の中で感じた「をかし(趣、面白み)」を、鋭い観察眼と豊かな感性で綴った随筆です。
「春はあけぼの」に代表されるように、自然の美しさや季節の移ろいを鮮やかに描写する才能に長けています。
また、宮廷での出来事、人々の様子、人事などを、時にユーモラスに、時に辛辣に、そして時には共感をもって書き記しており、
当時の貴族社会の風俗や人々の価値観を知る貴重な資料ともなっています。
鋭い観察眼と、物事を独自の視点で見つめ、それを言葉にする洗練されたセンスが、
現代にも通じる魅力となっています。
生涯:
結婚については、橘則光(たちばなののりみつ)と結婚し、一男をもうけましたが、後に離縁したとされています。
その後、藤原棟世(ふじわらのむねよ)と再婚し、娘・小馬命婦(こまのみょうぶ)をもうけたとも言われています。
定子が亡くなった後、清少納言は次第に表舞台から姿を消し、その晩年については諸説ありますが、
生涯を閉じた正確な時期や場所は不明とされています。
清少納言は、紫式部と並び称される平安時代を代表する女流作家であり、
その作品『枕草子』は、今日でも多くの人々に愛読されています。
時代: 平安時代(10世紀末~11世紀初頭)
ジャンル: 随筆(ずいひつ)
特徴:
「をかし」の文学: 清少納言が感じた「趣(おもむき)」や「風情(ふぜい)」を、鋭い観察眼と豊かな感性で表現しています。
日記・備忘録的要素: 日々の出来事や、宮廷での生活、自然の移り変わり、人事など、様々な事柄について、
思いつくままに書き記されています。
分類: 章段(しょうだん)と呼ばれる、独立した短い文章が集まって構成されています。
表現: リズミカルで、時にはユーモラス、時には辛辣な表現が魅力です。
学習のポイント
中学校では、枕草子の「をかし」の感覚を理解すること、清少納言の観察眼や表現の面白さを味わうことが中心となります。
また、平安時代の貴族の生活や文化を知る手がかりにもなります。
教科書に載っている段だけでなく、他の段にも触れてみると、さらに枕草子の魅力を深く理解できます!
「枕草子」は、作者の清少納言が、様々な事柄に対して感じた「をかし(趣き・面白み)」を、鋭い感性で書き記した随筆です。
その魅力は、多岐にわたるテーマを軽快な文章で表現している点にあります。
類聚(るいじゅう)段の魅力
特定のテーマに沿って、連想されるものを羅列していく形式の段です。作者の観察眼と美的センスが際立っています。
「春はあけぼの」: 季節ごとの最も美しい時間を切り取った、枕草子を代表する段。
単に美しいだけでなく、それぞれの時間の情景が目に浮かぶような鮮やかな描写が魅力です。
春の夜明け: じょじょに白んでいく山際、紫がかった雲が細くたなびく様子。
夏の夜: 月の明るい夜だけでなく、闇夜に飛び交う蛍や雨が降る様子も趣があるとしています。
秋の夕暮れ: 夕日が山に沈む頃、ねぐらに帰るカラスの様子や、雁の群れが小さく見える様子のしみじみとした美しさ。
冬の早朝: 雪や霜が降りて、あたり一面が白く清々しい様子。火を急いで起こす、冷たい空気感。
「にくきもの」: 清少納言が憎らしいと感じるものをユーモラスに列挙した段。
例えば、「通りすがりの客が家の戸を勢いよく開ける音」や「長居する客」など、現代にも通じる感覚が面白いです。
「うつくしきもの」: 「かわいらしい」「美しい」と感じるものを列挙した段。幼い子どもの姿や、小さなひな鳥など、
清少納言の温かい眼差しが感じられます。
日記・随想段の魅力
宮中での出来事や、清少納言自身の思い、人間関係について書かれた段です。
「香炉峰の雪」: 漢詩の一節をもじった中宮定子(ちゅうぐうていし)との機知に富んだやりとりを描いた段。
清少納言の教養の深さと、定子との強い信頼関係がうかがえます。
※ここの段は、日本人の本質がうかがい知れます!ぜひ、読んで「意味と意図」を感じ取ってくださいね!
「たゞ過ぎに過ぐるもの」: 「ただただ過ぎ去っていくもの」として、「帆をかけた舟」や「人の齢(よわい)」などを挙げ、
人生の無常さを表現しています。
※ここの段は、この後学習する「平家物語」に通じます!
これらの段は、清少納言の多面的な性格や、当時の宮廷生活の様子を知る貴重な手がかりとなります。
作者の鋭い感性と、それを言葉にする洗練されたセンスが、今もなお多くの人々を惹きつけてやまない魅力と言えるでしょう。
1000年以上、親しまれるには、理由があります!
ぜひ、話題のひとつにして欲しいと思います。
古典文学を話題にすると、きりがありません。
それくらい、国語の学習には魅力が詰まっていて、自分自身を高めるための教養が詰まっている教科です。
ぜひ、国語科の先生と、意見を交わしあえるくらい、日本の文学に触れて、感受性を養っていって欲しいと
思います。
記事 風見 一統