本日、8年生は「1年遅れの入学式」を挙行しました。
昨年度は、コロナ禍により板橋区全中学校の入学式は中止でした。そのため中学生となった自覚を再喚起し、気持ちも新たに今後の学校生活に向かう機会にするという目的のもと、1年遅れの入学式を開くことにしたのです。
「1年前の新入生が入場します」という司会の先生の言葉に始まり、入場、呼名(旧クラス)、学年主任の先生の言葉、校歌(放送)などが続き、最後の退場まで厳かな雰囲気の中で執り行いました。
授業(式)後、数名の8年生に感想を尋ねたところ、異口同音に「緊張しました」「嬉しかったです」等の答えが返ってきました。一方、1年前私が、板三中YouTubeチャンネルで配信した「無観客校長式辞」を視聴したかどうか尋ねたところ、ほとんどの人が記憶にないようでした。
「見ました」と答えた数少ない人も、内容を覚えているか尋ねると「?」の表情か「何か話していたことだけ覚えています」と、残念な答え…。下の『おりたたみ記事』に掲載しておきますので、もしよければご覧ください
校長 武田幸雄
まず、新型コロナウイルス感染予防のため、緊急事態宣言が今月末まで延長されました。それに伴い、第74回入学式が中止になりましたことを、新入生の皆さんと保護者の皆様に深くお詫び申し上げます。
一方で、この場にご来賓の皆様はもちろん教職員や8年生・9年生もおりませんが、皆さんの入学を心から歓迎しておりますことを、本校関係者一同を代表して申し添えておきます。
保護者の皆様におかれましては、お子様のご入学誠におめでとうございます。休校中とはいえ私たち教職員一同は今までも、そして、これからも、お預かりしたお子様の指導・支援に全力で当たっていく所存です。今後とも宜しくお願い申し上げます。
さて、新7年生の皆さん。
板橋第三中学校への入学、おめでとうございます。
皆さんが入学したこの板三中には、先生や生徒はもちろん、保護者・地域の皆さんも共有している、一つの夢があります。それは、「板橋第三中学校を、東京で一番の学校にする」という夢です。
「東京で一番の学校」といっても、他の学校と何かを比較して「一番」とか、大会やコンクールなどで「一番」といった意味ではありません。
簡単に言うと「東京で一番の学校は、どこですか?」と尋ねられたとき、そこに通う全ての生徒が、そこで働く全ての教職員が、そこに我が子を通わせる全ての保護者・地域の皆様が、胸を張って「板橋第三中学校です」と即答できる学校です。
したがって、言い方を変えれば「東京で一番の学校」とは、満足度の極めて高い学校、自己肯定感の極めて高い学校ということになるでしょう。
そんな関係者一同が共有する「東京で一番」の夢を抱いて、今年で4年目となりました。そして、私はこの4年目である令和2年度が、夢実現に向けた大きなターニング・ポイントになると思っています。なぜなら、昨年度までの教育活動との大きな違いが、今年は3つもあるからです。
まず1つは「教育目標の改定」です。
教育目標とは、その学校で育てたい生徒像や、生徒に身に付けてもらいたいことなどを、コンパクトにまとめたものです。本校では昨年、創立70周年を過ぎ、新たに令和の時代を迎えたことを機に、その教育目標を見直しました。
そして、生徒や先生方、保護者・地域の皆様はもちろん「学びのエリア」小学校の保護者の皆様からも広くアンケートを採りました。その結果を基に、全ての立場で上位に挙げられた「願い」を凝縮したものが、この新しい教育目標です。
【学ぶ・鍛える・思いやる】
【学ぶ】には「確かな学力を身に付けたい」などの願いが込められています。
【鍛える】には「心身ともに健康で、体力向上も図りたい」などの願いが込められています。
【思いやる】には「豊かな人間性を養いたい」などの願いが込められています。
今年度より本校のあらゆる教育活動は、それらの願いを実現するために行われます。今後学校が再開されたら、常にこの【学ぶ・鍛える・思いやる】を意識して学校生活を送ってください。
2つめの大きな違いは「校則」です。
昨年度までの本校には「生徒心得」とか「生活のきまり」など、たくさんの細かい「校則的なもの」がありました。しかし、それら多くの「校則的なもの」を、今年度よりたった一つの明快な「校則」へと変更しました。それが、この校則です。
『 Be Gentleman(ビィ・ジェントルマン=紳士であれ)』
この校則は、アメリカの教育者クラーク博士の言葉を引用しています。
「 Boys,Be ambitious 」(ボーイズ・ビィ・アンビシャス=少年よ、大志を抱け)の言葉で知られるクラーク博士は、1876年(明治9)、開校したばかりの札幌農学校(現在の北海道大学)に、初代教頭として着任しました。その際、開校にあたって定められた細かな校則を見て、クラーク博士はこう言ったそうです。
「規則で人間をつくることはできない。この学校に、校則はたった一つあればいい。それは『 Be Gentleman 』だ。」
「 Be Gentleman (ビィ・ジェントルマン)」意味は「紳士であれ」。「 Gentleman(紳士)」は男性を指す言葉ですが、これは札幌農学校が当時は男子校だったからで、皆さんは「男女に関係なく、知性に富み、礼儀正しく、思いやりにあふれる人」と解釈してください。
これから皆さんは、細かなルールや規則に縛られるのでなく、紳士としてとるべき行動の物差しを自分たちでつくり、自ら守っていかなければなりません。そのために先生方も力を惜しまず、皆さんの指導・支援にあたるつもりです。
最後3つめの違いは、教育目標の改定や校則の変更以上に、大きな違いです。それは、皆さんが、新型コロナウイルスの感染拡大という国家的危機の状況下で、板三中に入学してきたということです。
せっかく入学したというのに、満足に登校して授業を受けられた日が一日もないという異例の事態に、皆さんも戸惑っていることでしょう。しかし、私たち教職員は、休校中にもできる東京で一番の支援態勢を整えて、皆さんを迎え入れています。
ですから、どうかこのピンチは、チャンスでもあると考えてください。皆さんは、自学自習の習慣を身につけるチャンスに入学したのです。自分で生活リズムを整えられるようになるチャンスに入学したのです。そして、自分の行動が周囲に及ぼす影響を意識し、自分の行動を律するようになれるチャンスに入学したのです。
それはまさに【学ぶ・鍛える・思いやる】という新しい教育目標を達成するチャンスであると言えます。 同時に「知性に富み、礼儀正しく、思いやりにあふれる人」とはどんな人か、つまり「 Gentleman(ジェントルマン=紳士)」とはどんな人なのかについて、考えを深めるチャンスでもあると言えるでしょう。
さて、以上の話からも分かるように、皆さんは大きな変革期に本校に入学しました。いわば皆さんは、新しい学校、新しい板三中を創り上げていく「新しい人たち」なのです。
先ほども述べたとおり、現在私たちは新型コロナウイルスという目に見えない相手との闘いの真っ只中にあります。そして、どうすればその闘いに勝てるのか、いつその闘いが終わるのか、心配や不安は尽きません。しかし、私の胸の中は、「新しい人」を仲間に迎え、「新しい人」と共に学校生活を送れる期待のほうがまさっています。
新しい人よ。 新型コロナウイルスに負けず、共に「新しい学校」を創り上げていきましょう。
新しい人よ。 様々な困難を一つ一つ乗り越え、共に板三中を「東京で一番の学校」にしていきましょう。
学校再開後、皆さんと笑顔で会えることを心から楽しみにしています。