少し前の朝礼で、ラグビー日本代表チームの話をしました。今や世界の一流国からも一目置かれる存在となった日本代表チームですが、かつてその礎を築き「ミスター・ラグビー」と呼ばれた選手がいました。
名前を平尾誠二さんといいますが、残念ながら7年前に53歳という若さでお亡くなりになりました。先日、その平尾さんと、iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授の交流を描いた『友情〜平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」〜』というTVドラマを見ました。
とても感動的なドラマでしたが、今日はその話をしたいのではありません。ただ、タイトルからも分かるように、平尾さんが亡くなる前1年間の闘病生活を描いていただけに、私は以前読んだ本で感銘を受けた平尾さんの言葉を思い出したのです。今日は、その言葉ついて話をします。
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【時間って、命の一部なんですよ】
これが、その言葉です。
時間に関する有名な諺に「Time is money」(時は金なり)があります。「時間はお金と同じように大切だから、無駄につかってはいけない」といった意味で用いる諺です。
しかし、実は時間の大切さは、お金とは比べものになりません。なぜなら、失ったお金は取り戻すことができても、失った時間は絶対に取り戻せないからです。
あえて平尾さんの言葉を諺風に英語で表現するなら「Time is life(時は命なり)」となるでしょう。私は、平尾さんのこの言葉のほうが、時間の本質をとらえているように思います。
ちなみに英語つながりでもう1つ教えると、日本語の「暇つぶし」は英語で「killing time」というのだそうです。直訳すれば「時間殺し」。時間を命あるものにたとえて無駄遣いを戒めるという発想は、平尾さんの考え方と共通しています。
まさに「時間」は「命」と同じで、かけがえのないものです。「かけがえのない」とは、「他の何ものにも代えられない」ということです。したがって、時間を守らないことで失うものもまた、取り返しのつかないものであることが多くなります。
例えば、組織の一員としての自分が時間を守らないと、組織全体の活動を停滞させたり、他の組織員の余計な仕事を増やしたりすることにつながります。つまり、他者のかけがえのない時間を奪ってしまうことになるのです。そして、そのことで、自分もまた大切なものを失うことになります。
それは、自分に対する信用や信頼です。特に社会人として時間を守らずに信用・信頼を失えば、最終的に自分の社会的地位や身分まで失うことになるでしょう。
さらにもう一つ、時間を大事にしないことで失うものがあります。実は、先ほどの平尾さんの言葉には、こんな続きがあるのです。
【時間って、命の一部なんですよ。今の時間を大事にできない人は、未来の時間も大事にできない】
よく「限りある資源を大切に」という言葉を耳にします。その「資源」の意味を「何かを創り出す元になるもの」と解釈するなら、私たちが持つ最大の資源は「時間」であると言えるかもしれません。もし、そうだとしたら、「今、この時」という限りある資源を無駄にし続ければ、自分の願う未来も創り出せなくなるでしょう。
「自分の信用・信頼」と「自分の願う未来」。そのどちらも失わないために、どうかかけがえのない時間を大事に、限りある時間を大事に、「今、この時」を大事に生きてください。