『手紙』~9C~
- 公開日
- 2025/10/20
- 更新日
- 2025/10/20
日々の様子
9年C組『手紙』
アンジェラ・アキさんが作詞・作曲した「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」です。
この曲は、単なるヒット曲としてだけでなく、日本の学校合唱の歴史に残る重要な作品となっています。
1. 楽曲の概要
曲名: 手紙 ~拝啓 十五の君へ~
作詞・作曲: アンジェラ・アキ
発表: 2008年(シングルリリース)
背景: 第75回(2008年)NHK全国学校音楽コンクール(Nコン)中学校の部課題曲として書き下ろされました。
編成: 課題曲として混声三部合唱(SAB)、女声三部合唱(SSA)版が作られ、広く歌われています。
2. 楽曲のテーマとメッセージ
この曲は、「15歳の自分から未来の自分へ」、そして「大人の自分から過去の15歳の自分へ」という二つの視点からの手紙で構成されています。
15歳の「君へ」の視点(1番):
将来への不安や、誰にも話せない悩みで「今 負けそうで 泣きそうで 消えてしまいそう」な、思春期特有の切実な心情が吐露されます。
「誰の言葉を信じて歩けばいいの?」と問いかけています。
「大人の僕」からの視点(2番):
15歳の自分に「ありがとう」と伝え、問い続ければ道は見えてくる、と励まします。
「大人の僕も傷ついて眠れない夜はあるけど 苦くて甘い今を生きている」と、成長しても悩みが消えない現実を正直に語りつつ、
人生のすべてに意味があるから「自分の声を信じ歩けばいいの」とエールを送ります。
3. 合唱曲としての特徴
共感性の高さ: 15歳という多感な時期の悩みをストレートに描いているため、当時のNコン参加者だけでなく、
多くの若者や大人にも共感を呼び、国民的なヒット曲となりました。
ゴスペル風の盛り上がり: サビから中盤にかけてのパートでは、アンジェラ・アキさんの音楽ルーツであるゴスペルの要素を取り入れた
力強いコーラスとハンドクラップ(手拍子)のようなリズムが加わり、
感情が大きく高揚するドラマチックな構成になっています。
歌い方の切り替え: 曲調の変化が大きいため、前半は語りかけるような丁寧な歌い方、
後半はリズムに乗せて力強く解放的に歌う、といった表現の切り替えが演奏の重要なポイントになります。
4. 社会的な影響
Nコン課題曲として大成功を収めた後、映画『くちびるに歌を』の主題歌にも使用されるなど、合唱曲の枠を超えて、
卒業ソングや人生の応援歌の定番として歌い継がれています。
誕生秘話!!!
アンジェラ・アキさんの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」は、ご自身の実体験に基づいた感動的なエピソードです。
1. 17歳の自分からの手紙
この曲の核となったのは、アンジェラ・アキさん自身が17歳(高校生)の時に書いた、30歳の自分宛ての手紙でした。
当時の状況: アメリカの高校生だった頃で、親にも友達にも話せない、人には理解してもらえないと孤独に感じていた悩み
(「自分って何?」「消えたい」「負けそう」といった思い)を、未来の自分に相談する形で手紙につづっていました。
モチーフの発見: 彼女がちょうど30歳の誕生日を迎えたとき、お母様からその手紙が届けられたことが、曲を作る大きなきっかけとなりました。
2. Nコン課題曲としての依頼
このエピソードの直前に、アンジェラさんは2008年のNHK全国学校音楽コンクール(Nコン)中学校の部課題曲の制作を依頼されていました。
課題曲のテーマは「そして未来へ」でしたが、当初は「超書きづらい」と感じていたそうです。
しかし、お母様から手紙を受け取り、未来へ向かうメッセージを、過去・現在・未来を全て含めた「手紙」という形にすることで、
素直に曲が完成しました。
3. 往復書簡の形式
曲の歌詞は、「15歳の自分から未来の自分への問いかけ(1番)」と、それに応える「大人の自分から過去の自分への励まし(2番)」という、
往復書簡(ラブレター)の形式を取っています。
これにより、10代のリスナーに対しては現在の悩みを代弁しつつ、未来への希望を与えるという、
普遍的で深いメッセージ性を持つ楽曲として完成しました。
誰もが知る「手紙」。メッセージ性がとても強いため、9Cの真剣な眼差しが
ダイレクトに聴き手に伝わるのではないでしょうか。
しっかりと、自分たちの楽曲として仕上げに入りましょう。
明日は、各学年D組をお特集します。あっという間に本番がやってきそうですね。
記事 風見 一統