学校日記

8年 国語

公開日
2025/10/02
更新日
2025/10/02

日々の様子

8年生の国語です。

新しい単元の導入でした。

ネットを利用して、錯覚についてのデモンストレーションです。

人の視覚の不思議について、様々な例を図解して体験していました。


『味は味覚だけではきまらない』の読解です。


この文章は、「味」が単に舌で感じる「味覚」だけでなく、他の様々な感覚や情報によって

成り立っているということを主題としています。


文章を理解するためのポイント


1.筆者の主張

筆者の最も重要な主張は、タイトルにもある通り、味は「味覚」だけでは決まらないということです。


味覚以外の感覚:私たちが食べ物を味わうとき、舌で感じる基本五味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)である「味覚」

        だけでなく、「嗅覚(におい)」、「触覚(食感や温度)」、「視覚(色や形)」なども深く関わっています。


情報と経験:さらに、その食べ物に関する情報(値段、産地、ブランドなど)や、過去の経験や記憶、

      雰囲気なども、おいしさの感じ方に影響を与えます。


2.味覚以外の感覚の役割


嗅覚(におい):味覚が数種類しかないのに対し、嗅覚は多種多様なにおいを識別できます。

食べ物の「風味」の多くは、実はにおい(鼻に抜ける「鼻腔後方のにおい」)によるものです。

風邪をひいて鼻が詰まると食べ物の味がわからなくなるのは、このためです。


触覚(食感・温度):サクサク、もちもちといった食感や、温かい、冷たいといった温度も、「おいしさ」を構成する重要な要素です。

         例えば、同じ味付けでも、冷めたご飯より温かいご飯の方がおいしく感じる、といったことです。


視覚(見た目):食べ物の色や盛り付けは、食欲をそそったり、味が濃い・薄いといった印象を事前に作り上げたりします。

       きれいな見た目は、食べ物に対する期待を高め、結果としておいしさに影響を与えます。


3.読解のポイント

「味覚」の限界は何か?(数種類の味しか判断できないことなど)

「味」を形作るために、味覚以外にどのような感覚がどのように働いているか?(例と結びつけて理解する)

複数の感覚や情報が統合されて、最終的な「おいしさ」の感覚が生まれる、という結論を理解する。

この文章は、私たちが日頃当たり前に感じている「味」の複雑さを科学的、かつ多角的にとらえ直すことを促しています。


1.文章の構成と論理展開

この説明文は、「序論・本論・結論」の三部構成で、筆者の主張を論理的に展開しています。


構成 内容 役割・論旨

序論 多くの人は「味=味覚」だと思っている。しかし...

  
    問題提起:「味は味覚だけではきまらない」という筆者の主張を提示する。


本論 1.味覚の限界と基本五味について(導入) 2.嗅覚(におい)の役割と重要性(最重要) 3.触覚(食感・温度)の役割

    4.視覚(見た目)やその他の情報・経験の役割 主張の裏付け:味覚以外の様々な感覚や情報が「味」に

    深く関わっていることを、具体的な例を挙げて説明する。


結論 味は、複数の感覚や情報が脳で統合されて生まれるもの。

まとめ:結論を再確認し、読者に「味」に対する新しい見方を与える。


2.本論の具体的な着目点

① 味覚の限界(基本五味)

味覚(舌で感じる味):甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の「基本五味」の数種類に限られる。

課題:もし味覚だけで判断しているなら、リンゴとナシ、オレンジとグレープフルーツといった微妙な

   風味の違いを識別できないはずである。


② 嗅覚(におい)の重要性

風味の正体:私たちが食べ物から感じる「豊かな味」や「風味」のほとんどは、実は嗅覚が担っています。

メカニズム:食べ物のにおい成分は、鼻から吸い込むとき(鼻腔前方)だけでなく、

      口に入れて噛んでいるときにのどの奥から鼻の奥へ抜ける(鼻腔後方)ことで強く感じられます。

      この「鼻腔後方のにおい」が味の識別に非常に重要です。

具体例:風邪をひいたときや鼻をつまんで食べ物を食べたとき、甘い・しょっぱいはわかっても、

    「何の食べ物か」がわからなくなる。(純粋な味覚しか残らないため)


③ 触覚(食感・温度)の役割

食感(テクスチャー):サクサク、パリパリ、トロトロ、といった食感が、食べ物の印象を大きく左右します。

(例:古くなったポテトチップスは味が同じでもおいしくない)

温度:味覚は温度によって感じ方が変化します。(例:冷たいビールは苦味が弱く、温かい汁物は塩味を弱く感じるなど)

   食べ物の適切な温度がおいしさを高めます。(例:熱いものは熱く、冷たいものは冷たい方がおいしい)


④ 視覚や情報の関与

視覚(見た目):赤いドリンクはイチゴ味、黄色いドリンクはレモン味、といったように、色は味の先入観を与えます。

       色を逆にしたジュースを飲む実験などで、脳が視覚情報にだまされるという事例が紹介されることもあります。


情報・期待:「高級な」ワインと教えられたものと、「安い」ワインと教えられたものでは、たとえ中身が同じでも、

      おいしさの評価が変わる。(期待感と記憶の影響)

      ※お正月おなじみの芸能人格付け!あるあるですね!


3.読解力を高めるための問いかけ

この文章の読解を深めるために、次の問いに答えられるかを挑戦してみてください。

①筆者が言う「味覚」と、最終的に私たちが感じる「味」の違いを、自分の言葉で説明しなさい。

②この文章で、嗅覚が味の判断において最も重要であることを裏付けるために使われている具体例は何か?

③「味は味覚だけではきまらない」という主張を、嗅覚、触覚、視覚の3つの要素を使ってまとめなさい。


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①筆者が言う「味覚」とは、舌だけで感じる、甘い・しょっぱいといった基本的な数種類の感覚のことです。

 これに対し、私たちが「味」として感じているのは、その味覚ににおいや食感、見た目などの情報が加わり、

 脳の中で一つにまとめられた総合的なおいしさの印象のことです。

②風邪をひいて鼻が詰まったとき(または、鼻をつまんで食べ物を食べたとき)、甘いか苦いかといった「味覚」は

 感じられるものの、イチゴやカレーといった食べ物の微妙な「風味」や「種類」がわからなくなるという例が使われます。

 これは、食べ物の風味の大部分が、舌でなく鼻の奥(鼻腔後方)で感じる「におい」の情報によって

 成り立っていることを示しており、嗅覚が味覚の限界を補って多様な「味」を生み出しているためです。

③私たちが感じる「味」は、舌で感じる味覚だけでは決まらず、主に3つの要素が関わっています。

 嗅覚は、食べ物の風味を伝え、味覚では不可能な多様な味の識別を可能にします。

 触覚は、食感や温度といった情報で食べ物のおいしさに深みを加えます。

 また、視覚は、食べ物の見た目から味の印象を左右する先入観を与えます。

 これらの感覚が脳で統合されることで、最終的な「味」が決定されます。


どうでしたか!?

説明的文章の題材になるものは、今、世の中でおきている様々な事象について、

まとめられたものが大半です。

視野を広く、世の中に目を向けて、どんな取り組みや、どんな考え方が普及しているのかを

知っておくと、とても話の内容が入りやすくなります。

また、上級編としては、そうした内容に対して、小論文形式で、自分自身の

考えを問われることもあります。

友達同士や、家族などと、積極的に意見交換ができるようになると、

自然と力がついていきます。

がんばって学習していきましょう。


             記事 風見 一統