学校日記

7年 国語

公開日
2025/10/02
更新日
2025/10/02

日々の様子

7年生の国語です。

古典『竹取物語』の学習が進んでいます。

『竹取物語』は、日本で最も古い物語(現存げんそんする日本最古の物語)とされ、後の文学に大きな影響を与えた傑作です。

通常、教科書では物語の前半(誕生と成長)、中盤(五人の貴公子からの求婚)、後半(帝との交流と月の世界への帰還)のうち、

特に印象的な場面が採用されています。


1.物語の全体あらすじ

1.誕生と成長

昔、竹取の翁(おきな)という者が、竹の中に輝く小さな女の子を見つけ、連れ帰って育てます。それ以来、翁は竹を切るたびに、

節の中から黄金(こがね)を見つけるようになり、豊かになります。女の子は三か月ほどで立派な娘に成長し、

その輝くような美しさから「かぐや姫」と名づけられます。


2.五人の貴公子(求婚者)

かぐや姫のあまりの美しさが評判となり、五人の身分の高い貴公子(くらもちの皇子、石作の皇子など)が求婚にやってきます。

かぐや姫は、彼らの誠意を試すため、世にも稀な宝物をそれぞれ持って来るようにという無理難題を与えます。


3.難題への挑戦と失敗

貴公子たちは、かぐや姫の出した難題(例:蓬莱の玉の枝、火鼠の皮衣など)に挑みますが、偽物を作ったり、

諦めたり、嵐に遭って失敗したりと、誰も成功することができません。

これにより、かぐや姫がこの世の人間とは結婚しないという意志が明確になります。


4.帝(みかど)との交流と昇天

かぐや姫の評判を聞いた帝が、かぐや姫を一目見ようとやってきます。帝もかぐや姫を求婚しますが、

かぐや姫は「自分はこの国の者ではない」と断ります。

その後も帝と手紙などで交流を続けますが、ついに月の世界へ帰る日が来ます。


5.月の世界への帰還

別れの日、天人たちが迎えにやってきます。かぐや姫は、翁と嫗(おうな)との別れを惜しみながらも、

天の羽衣(はごろも)を着せられ、不死の薬を帝に贈って月に帰ります。

かぐや姫を失った翁と嫗は嘆き悲しみ、帝もまた薬を飲まず、かぐや姫への未練を断つために、

富士山の頂上でその薬を燃やさせました。これが「富士山」の名の由来になった、と物語は結ばれます。


2.中学国語で重要なポイント

1.古文の言葉遣いと文法

歴史的仮名遣い:学習の初期段階で、「竹取の翁といふ者ありけり」のように、

古い仮名遣いを現代の仮名遣い(例:「いふ」→「いう」、「けり」→「けり」)で読む練習をします。


主語の省略:古文は現代文よりも主語が省略されることが多いため、「誰の行動か」を文脈から正確に読み取る訓練が重要です。

(例:「見つけて」の主語は誰か?)


2.登場人物の心情

物語のドラマチックな展開を支える、主要な登場人物の気持ちを理解しましょう。

翁と嫗:かぐや姫を見つけた喜び、育てていく親心、そして別れの時の深い悲しみ。

かぐや姫:この世の美しいものへの愛着と、月に帰る運命の間での葛藤や悲しみ。

貴公子たち:かぐや姫への強い熱意と、難題に失敗したときの落胆や滑稽さ。


3.物語の背景とテーマ

異界(月)からの訪問者:かぐや姫は、単なる人間ではなく月の世界からの存在であり、

         この世の人間とは異なる運命を持っていたことが物語の根本的なテーマです。


永遠の別れと昇華:結末で帝が不死の薬を燃やす行為は、かぐや姫を忘れることはできないが、

         永遠の愛を断ち切る決意を示しています。この「不死の薬」が燃やされた山が富士山となり、

         物語が現実の地名に結びつくという構成が、非常に巧みです。


探究してみる!?

1.物語の構造とテーマを深掘りする探究

これは、物語が持つ意味や、作者の意図に迫るテーマです。

テーマ:なぜかぐや姫は月に帰らなければならなかったのか?

探究の視点:物語の時代(平安時代初期)の「天人」や「仏教的世界観」について調べる。

かぐや姫が帝や翁に残した別れの手紙や不死の薬の意味を考察する。

「天の羽衣」を着た瞬間に、かぐや姫の「物思ひ(悲しみ)」が消えたのはなぜか、その心理的・物語的な効果を考える。

ゴール:かぐや姫が人間社会から離れた存在であることを理解し、

    物語が「この世の永遠の幸せはありえない」

    というテーマを含んでいることを考察する。


2.文学と文化・社会を関連付ける探究

『竹取物語』が後の時代や文化に与えた影響、あるいは当時の社会との関わりを探るテーマです。

テーマ:富士山の伝説と『竹取物語』の関係を探る

探究の視点:物語の結末で、帝が残された「不死の薬」を富士山で燃やす場面に注目する。

この物語が書かれる以前から、富士山には「不老不死」や「かぐや姫」にまつわる伝説が

あったのかどうかを、地域の伝承や他の文献で調べる。

なぜ数ある山の中で、特に富士山が選ばれたのかを考える。

ゴール:文学作品が、実際の地理や文化、地名の由来とどのように結びついてきたのかを知り、

    古典が持つ「語り」の力を理解する。


3.登場人物の人間性を分析する探究

物語を支えるキャラクターの行動や心情に焦点を当てることで、人間的な視点から物語を読み直すテーマです。

テーマ:五人の貴公子の求婚から、当時の「求婚の条件」を読み解く

探究の視点:かぐや姫が出した五つの難題(例:仏の御石の鉢、蓬莱の玉の枝など)が、

      それぞれどのような「価値」や「権威」を象徴しているのかを調べる。

貴公子たちが難題にどのように挑み、なぜ失敗したのかの行動パターンを比較分析する。

かぐや姫が求めていたのは、宝物そのものだったのか、それとも誠意や努力だったのかを考察する。

ゴール:平安時代の貴族社会における財力、権力、誠意といった価値観を読み取り、

    単なる「おもしろい話」としてだけでなく、人間の本質を描いた物語として理解する。


どのテーマも、教科書本文を入り口として、図書館やインターネットでさらに情報を集めることで、より深い学びにつながります。

どのテーマに興味が湧きましたか?



探究テーマ1:なぜかぐや姫は月に帰らなければならなかったのか?(解答例の構成)

結論:かぐや姫の正体と運命

かぐや姫は、この世で罪を犯したことに対する罰として、一時的に下界(人間界)に降りてきていた月の都の者だったからです。

彼女の人間界での生活は、あらかじめ定められた期間が終了すると、自動的に元の世界へ戻るという運命でした。


理由1:この世の価値観との断絶

かぐや姫は、翁や帝といった人間を愛し、別れを悲しみますが、根本的に人間社会の価値観を受け入れませんでした。

求婚への態度: 貴公子たちに対し、世俗的な権威や財力では手に入らない無理難題を突きつけ、求婚を退けました。

       これは、この世の愛や執着が、真実の愛ではないことを示唆しています。

帝への拒否: 最高権力者である帝の求婚も、「自分はこの国の者ではない」という理由で拒否しました。


理由2:天の羽衣の持つ力

天人たちが迎えに来た際に、かぐや姫が着せられた「天の羽衣」が重要な役割を果たします。

羽衣を着せられた途端、かぐや姫は、翁や嫗との別れに対する「物思ひ(悲しみ)」が消えてしまいます。

これは、羽衣が人間的な煩悩(執着や悲しみ)を消し去る力を持っていることを示しており、

かぐや姫が俗世間との縁を切って、月の世界の心に戻るための儀式でした。


探究テーマ2:富士山の伝説と『竹取物語』の関係を探る(解答例の構成)

結論:物語が伝説を完成させた

『竹取物語』は、古くから存在した富士山にまつわる「不死」の信仰や伝説を取り込み、

物語の結末として巧みに利用することで、その伝説に「かぐや姫」という起源を与え、文学的な意味を完成させました。


理由1:不死の薬と富士山のつながり

不死の薬(不老不死の霊薬):かぐや姫が帝に贈った薬は、飲むと永遠の命を得られるとされる霊薬でした。

帝は、愛する姫のいないこの世で生き続けることを拒み、その薬を最も天に近い山、すなわち富士山の頂上で燃やさせます。

「ふじ」の語源:この薬(不死の薬)を燃やすために、多くの兵士(「つはもの」)が山に登ったこと、

また、燃やした煙が今も空に立ち上っていることから、この山が「ふじ(不死・不二)」と名付けられた、と物語は説明しています。


理由2:既存の信仰の利用

『竹取物語』が書かれた時代には、すでに富士山が神聖な山、あるいは不老不死の山として信仰されていました。

作者は、この既知の伝説や信仰を物語の「語り」の力で説明し直し、フィクションである『竹取物語』を、

まるで現実の起源であるかのように見せる効果を生み出しました。

この結末により、物語は単なるおとぎ話としてではなく、文化や地理に深く根差した伝説として読者に受け継がれることになったのです。


探究テーマ3:五人の貴公子の求婚から、当時の「求婚の条件」を読み解く(解答例の構成)

結論:かぐや姫は「財力」ではなく「誠意」を求めた

かぐや姫が五人の貴公子に出した難題は、単に「珍しい宝」を持ってこさせることではなく、

当時の貴族が重視していた「権威」や「財力」といった世俗的な価値観では、真実の愛(=かぐや姫)は

手に入らないというメッセージを突きつけるものでした。


理由1:難題が象徴するもの

五つの難題は、すべてこの世に実在しない、または入手が極めて困難な宝物でした。

例:蓬莱の玉の枝(中国の伝説の山にあるとされる宝):権威や富の象徴。

  くらもちの皇子は、これらを金で手に入れよう(偽造しよう)として失敗します。


例:火鼠の皮衣(火で焼いても焦げない衣):不老不死や魔力の象徴。

  当時の権力者が追い求めた超越的な価値観の象徴です。


理由2:失敗に見る貴族の欠点

貴公子たちは、誰もが自力での真剣な探求や困難に耐える忍耐を示すことができませんでした。

金で解決しようとする:くらもちの皇子のように、職人を雇って偽物を作らせる。

嘘をつく:命がけの旅をしたふりをして、偽物を本物として提示する。

困難を避ける:石作の皇子のように、難題を聞いただけで心が折れてしまう。

かぐや姫がこれらの欺瞞(ぎまん)を次々と見破ったことから、彼女が求めていたのは、

困難に立ち向かう「純粋な愛や真剣な努力」であり、「身分の高さや財力」といった

当時の貴族が頼りにしていた条件ではなかったことが読み取れます。




まとめ:物語が伝える教訓

『竹取物語』は、一見すると美しい姫の物語ですが、根底には

「この世の喜びや愛着は、永遠に続くものではない」という仏教的な無常観が流れています。

かぐや姫の昇天は、人間がどんなに宝や権力、愛を求めても、「定められた運命」や

「異界の力」には逆らえないことを示す、象徴的な出来事だったと言えます。




絶賛、学習中の7年生も、すでに既習済みの上級性も、すでに過去の産物と化した大人も、
改めて、日本の古典文学に触れてみませんか。
長い年月を経ても、今もなおこの世の中に受け継がれている文学作品の魅力について、
現代を生きる我々が、また新たな価値観を見つけ出すことに、本質が隠されているのではないでしょうか。

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            記事 風見 一統