おいしい給食「おでん」
- 公開日
- 2025/12/18
- 更新日
- 2025/12/18
日々の様子
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12月18日(木)
今日のメニューは、五目ご飯、おでん、みかん、牛乳です。
おでん
寒い季節に欠かせない「おでん」ですが、その歴史は意外にも古く、
もともとは今のような煮込み料理ではありませんでした。
おでんのルーツや歴史、言葉の由来について
1. おでんのルーツは「豆腐」だった?
おでんの始まりは、室町時代に流行した「豆腐田楽(とうふでんがく)」だと言われています。
拍子木形に切った豆腐を串に刺し、味噌を塗って焼いた料理です。
名前の由来: 「田楽」とは、田植えの時期に豊作を願って踊った伝統芸能「田楽舞」のことです。
豆腐を串に刺した姿が、一本足の竹馬に乗って踊る田楽法師の姿に似ていたことから、
この名がついたとされています。
「おでん」という言葉: 宮中に仕える女性たちが使っていた「女房言葉」が由来です。
「田楽(でんがく)」に丁寧語の「お」をつけ、下の言葉を略して「おでん」と呼ぶようになりました。
2. 「焼き」から「煮込み」への進化
江戸時代に入ると、大きな変化が訪れます。
ファストフード化: 江戸の町で屋台が普及し、忙しい江戸っ子のために、焼く手間を省いて
「茹でて味噌をつける」スタイルが登場しました。
煮込みおでんの誕生: 江戸後期になると、醤油の醸造が盛んだった千葉県(銚子や野田)の影響で、
「醤油味のダシで煮込む」という、現代に近いおでんの原型が誕生しました。
3. 「関東煮(かんとだき)」の逆輸入実は、おでんが全国区になったのには、
関東と関西の面白い交流があります。
関西へ伝播: 江戸で生まれた煮込みおでんが明治時代に関西へ伝わり、
「関東煮(かんとだき)」と呼ばれて独自の進化を遂げました。
関西では薄口醤油を使い、牛すじやタコなどの具材が加わりました。
関東への逆輸入: 1923年(大正12年)の関東大震災の際、関西の料理人が炊き出しでおでんを振る舞いました。
これがきっかけで、関西風の味付けや具材が関東にも取り入れられ、現在の洗練された
「おでん」が定着したと言われています。
地域による「おでん」の違い
おでんは地域性が非常に豊かな料理です。
代表的なものをいくつか紹介します。
地域特徴主な具材・調味料
東京かつおと昆布のダシ、濃口醤油ちくわぶ、はんぺん
静岡真っ黒なスープ、串刺しスタイル黒はんぺん、
削り粉をかける名古屋八丁味噌(赤味噌)の濃厚な味味噌で煮込む「味噌おでん」
金沢上品なカニや貝類のダシカニ面(カニの甲羅盛り)、
車麩姫路生姜醤油をつけて食べる独自のつけダレ文化おでんの歴史を知ると、
いつもの大根や玉子も少し違った味わいに感じるかもしれませんね。
「珍しい具材」と「美味しいダシの取り方」について、
1. 日本全国「ご当地おでん」の珍しい具材地域によって「これも入れるの?!」と驚くような具材がたくさんあります。
地域珍しい具材特徴
北海道マフラー
長方形の大きなさつま揚げ。首に巻くマフラーに似ていることから。
青森大角天(だいかくてん)
薄くて大きな四角いさつま揚げ。生姜味噌だれで食べるのが定番。
東京ちくわぶ
小麦粉を練って蒸したもの。関東以外の人には驚かれることが多いです。
石川(金沢)カニ面(めん)
香箱ガニの甲羅に身と味噌を詰め直したもの。冬の贅沢品です。
静岡黒はんぺん
サバやイワシを丸ごと練り込んだもの。色が黒く、独特の風味があります。
愛知赤棒(あかぼう)
赤く着色された棒状の練り物。味噌おでんの彩りに欠かせません。
滋賀赤こんにゃく
派手な赤色をしていますが、辛くはなく、鉄分を含んだ独特の食感です。
福岡餃子巻
餃子を魚のすり身で包んで揚げたもの。博多の屋台で大人気。
沖縄てびち(豚足)
ぷるぷるのコラーゲンたっぷり。昆布や青菜もたっぷり入ります。
2. 「美味しいダシ」の黄金比とコツ
ダシの黄金比
おでんつゆの味付けは、以下の比率を基準にすると失敗がありません。
だし汁:みりん:薄口醤油 = 13〜15:1:1関東風(濃いめ)なら 10:1:1関西風(あっさり)なら 15:1:1
美味しくする3つの秘訣
「煮沸」させない:グツグツ沸騰させると、
ダシが濁り、具材(特に練り物)から雑味が出てしまいます。
常に「表面がゆらゆら揺れる程度」の弱火をキープしてください。
一度「冷ます」のが最大のコツ:食材に味が染み込むのは、温度が下がるときです。
食べる数時間前(または前日)に一度作り、完全に冷ますことで、中までじっくり味が染み渡ります。
「追い鰹(おいがつお)」の魔法:仕上げに少量の鰹節をパラリと加え、数分置いてから取り出す
(またはそのまま食べる)と、香りが格段に華やかになります。
3. 下ごしらえの「ひと手間」で劇的に変わる
ダシを濁らせず、素材の味を活かすには下準備が重要です。
大根: 厚めに切り、米の研ぎ汁(またはお米を少し入れる)で下茹ですると、
特有の苦味が消え、甘みが引き立ちます。
練り物(厚揚げ・がんもなど): 食べる前にサッと熱湯をかけて「油抜き」を。
これだけでダシの油浮きが抑えられ、味が染みやすくなります。
こんにゃく: 格子状の切れ目(鹿の子)を入れ、下茹でするとプリッとした食感になります。
ご自宅で作る際は、お好みの地域の具材を「お取り寄せ」してみるのも楽しいですよ。
現在のおでんは、伝統を守りつつも「利便性」と「多様性」がさらに進化しています。
最新の人気具材ランキングや、近年の大きなトレンドな3つのポイント
1. 【2024-2025最新】人気の具材ランキング
近年の調査(関越物産やTEPCO等のアンケート)でも、上位の顔ぶれは不動の
「三強」が圧倒的ですが、世代によって好みが分かれる傾向にあります。
第1位:大根(圧倒的な支持率。味が染みていることが絶対条件)
第2位:玉子(子供から大人まで人気。最近は半熟にするこだわり派も)
第3位:もち巾着(ボリューム感と食感の楽しさが人気)
第4位以下: 牛すじ、こんにゃく、はんぺん、しらたき
世代別の傾向:
若い世代: ウインナーやロールキャベツなど、洋風の食べ応えがある具材が上位。
シニア世代: つみれやガンモ、厚揚げなど、伝統的な練り物を好む傾向。
2. 現在のおでんトレンド:3つのキーワード
① コンビニおでんの「袋入り」シフト
かつての主流だった「レジ横のオープン什器」での販売は、衛生管理や店舗スタッフの負担軽減(タイパ重視)、
食品ロス削減のため、全国的に縮小傾向にあります。
代わりに、「レンジで温めるだけのカップ型」や「パウチパック」が主流となりました。
これにより「いつでも、どこでも、手軽に」食べられるスタイルが定着しています。
② 「進化系・創作おでん」の台頭
外食市場では、従来の「和風おでん」の枠を超えた新しいスタイルが流行しています。
フレンチおでん: コンソメやブイヨンで煮込み、大根に「ポルチーニソース」をかけたり、
フォアグラを合わせたりするスタイル。ワインとのペアリングが人気です。
鶏だし・白湯おでん: 醤油ベースではなく、濃厚な鶏白湯スープで煮込むおでん。コラーゲン豊富で、女性層を中心に支持されています。
③ 「リメイク」が前提の家庭料理
おでんは一度に大量に作るため、「翌日以降のアレンジ」までを楽しむのが今の主流です。
定番: カレー、炊き込みご飯、うどん
最新トレンド: お好み焼き、チヂミ、茶碗蒸し(ダシが完成されているため、少しの工夫で絶品料理に変わります)
3. おすすめ!おでんの残り汁リメイク術
最後におでんが余ったら、ぜひ試してほしいリメイクを紹介します。
おでんカレー: 具を小さく切り、カレールーを入れるだけ。ダシが効いた蕎麦屋のカレーのような深みが出ます。
おでんの具チヂミ: 余った練り物やこんにゃくを刻み、小麦粉・卵・おでんの汁少々と混ぜて焼きます。
茶碗蒸し: 残ったつゆを卵と混ぜて蒸すだけ。すでに具材の旨味が凝縮されているので、プロ級の味になります。
このように、現在のおでんは「伝統的な冬の家庭料理」から、
「利便性の高い中食」や「ワインに合うグルメ料理」へと、その姿を広げています。
寒い時期に、ぴったりの給食メニューでしたね。
みなさんの家庭では、独特の具材を入れて、おでんが食卓に並ぶことはありますか。
はるか昔、セブンイレブンで、おでんの直販売を始めた頃がとても懐かしいです。
お店に入ると、おでんの出汁の匂いに誘われて、買ってしまうんですね。
寒い時期に、食べる、あのおでんの味が、いつも心の中から蘇ります。
さて、今週もいよいよ明日は金曜日です。
2学期の給食も残り4回。
2学期の終業が迫っていることを意味しますね。
最後まで、感謝の気持ちと、元気に生活することを忘れずに、
残りの時間も一生懸命に過ごしましょう。
記事 風見 一統