暦や宿泊行事の関係で、約1か月ぶりの朝礼です。そのため少し前の話になりますが、ある学年で生徒どうしのちょっとした喧嘩がありました。
幸い、双方とも大きなケガには至りませんでしたが、今後はここにいる全ての人が、問題の解決や感情のはけ口を暴力に求めてはいけません。その理由を、今から説明させてもらいます。
年齢や性別に関係なく、私たちは等しく「人権」をもっています。人権とは、簡単に言えば「全ての人間が生まれながらにしてもっている、人間らしく幸せに生きるための権利」です。
しかし、残念ながらその権利を傷つけ、時には奪い取ってしまうものがあります。その一つが、暴力です。
相手を殴る、蹴るといった身体的暴力、相手を傷つける言葉を言ったりネット上に書き込んだりする精神的暴力…。いずれの暴力も人権を侵害するものであり、断固として否定しなければなりません。
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現在、9年生が学習している英語の教科書に、かつてインドの民族独立運動で最高指導者だったガンディーという人が出ています。9年生は、歴史の授業「インドの民族運動」でも取り上げられた人なので、どんな人かすぐにわかるでしょう。
死後80年近くたった今なお、国民からマハトマ(偉大なる魂)ガンディーと呼ばれ尊敬されている人です。
イギリスの植民地だったインドを独立させようとしたガンディーは、独立を阻止したいイギリス政府の妨害や弾圧、時には暴力を受けます。しかし、彼は、その暴力とは対極にある手段で抵抗しました。それは「非暴力・不服従」という手段です。
「非暴力・不服従」
意味は、わかるでしょうか。「非暴力」 つまり、暴力は絶対につかわないという意味です。 その一方で「不服従」 つまり、不当な扱いや間違った命令には、絶対に従わないということです。
暴力によって独立運動を妨害されても反撃せず、かといって暴力に屈することもしない。そんなガンディーの姿勢に共感した多くの人が抵抗運動に参加するようになり、やがて独立を勝ち取る大きな力となりました。
「非暴力」は、「暴力」以上の力を持っているのです。
そのことを身をもって証明したガンディーの言葉を、3つ紹介します。どうか皆さんも、自分が暴力を受けたとき、逆に自分が暴力をふるいそうになったとき、どれか1つでも思い出してください。
まず1つ目の言葉です。
【非暴力は臆病をごまかす隠れみのではなく、勇者の最高の美徳である。非暴力を貫くには、剣士よりはるかに大きな勇気がいる】
2つ目の言葉です。
【非暴力は人間に与えられた最大の武器であり、人間が発明した最強の武器よりも強い力を持つ】
そして、何より覚えておいてほしいのは、次の言葉です。
【暴力が獣の掟であるように、非暴力は人間の掟である】
いくら自分の暴力に自信があっても、一の暴力は十の暴力の前には無力です。いくら十の暴力を誇ったところで、百の暴力には全くかないません。しょせん暴力のもつ力など、そんなものです。
それに対して一の「非暴力」の信念と勇気は、十・百・千・万の暴力にも、決して屈することはないでしょう。私たちは、そんな「非暴力」の強さを身につける必要があります。
なぜなら、自分の人権(人間らしく幸せに生きる権利)を守りたければ、まず自分自身が人間らしく生きる、つまり「人間の掟」に従わなければならないからです。そのためには暴力を否定し、自分の人権も他者の人権も、大切にできる人になってください。