現在、4年に一度のラグビー・ワールドカップ(W杯)がフランスで開催されています。実は、私は一番好きなスポーツを尋ねられたら「ラグビー」と即答するほどのファンです。皆さんと同じ中学生時代に、ある大学ラグビーの試合を観戦して以来、半世紀に及ぶファンです。
といっても、進学した高校にラグビー部がなかったので、競技経験はありません。しかし、観戦経験はそれなりに多いので、それなりに魅力を語れます。
4年前に日本でW杯が開催された時も、優勝した南アフリカと日本が対戦した準々決勝を横浜まで観戦に行きました。もちろん、一昨日行われた日本対アルゼンチンの試合も、手に汗握って見続けました。
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そんな私がラグビーの魅力を語り出したら、とても朝礼の時間では足りません。そこで、今日は数多くある魅力の1つだけ、お話しさせてください。
一昨日のW杯中継で、試合前に整列した日本代表選手を見た人は、実に様々な体型の人がいることに気づいたのではないでしょうか。体と体をぶつけ合うスポーツですから、屈強な体つきという点は共通しています。しかし、背の高い人や低い人、体の重そうな人や身軽そうな人など、実に様々な体型の選手がいるのです。
それは、ラグビーには様々な身体的特徴に見合った、様々なポジションが用意されているからなのです。15名で構成されるラグビーのポジションは、大きくスクラムを組む8名のフォワードと、スクラムの後方で攻撃や防御を担う7名のバックスとに分かれます。
そして、フォワード・バックスそれぞれの中でも、ポジションによって求められる役割が異なり、その役割に応じて求められる体型や身体能力も違ってくるからです。
参考までに今回の日本代表選手で最重量は、フォワードのシオネ・ハラシリ選手とベン・ガンター選手の120kg、それに対して最軽量はバックスの流選手の69kg。最長身はフォワードのワーナー・ディアンズ選手の201cm、それに対して最も背が低いのはバックスの斎藤選手の165cmです。
私は、そのように様々な体型、様々な身体能力を生かせるスポーツであることが、ラグビーの魅力の1つだと思っています。
さらに、今挙げた選手の名前に、一瞬違和感を覚えた人がいるかもしれません。今回の日本代表33名のうち、外国出身の選手は約半数の16名に上ります。ちなみに先のハラシリ選手はトンガ出身、ガンター選手はタイ出身、ディアンズ選手はニュージーランド出身です。他にも南アフリカ、オーストラリア、韓国などまさに多国籍軍といった感じのチームです。
これは、たとえどの国の出身であっても、あるいは国籍がどこであろうと、一定の条件を満たせば日本の代表として認められ、今私も着ている桜のジャージを着て戦えることを意味しています。
このようにラグビーは、本人のやる気次第で体型や身体的特徴、さらには国籍や出身国などに関係なく活躍の場が与えられるスポーツなのです。まさに diversity(ダイバーシティ=多様性)と、それを受け入れた寛容性こそがラグビーの魅力の1つだと、私は思っています。
さて、以前も話しましたが、本校の運動会は「より速く・より強く・より揃えて」以上に「より楽しく・多様性を認めて」を意識したプログラム構成でした。個人的な考えですが、さらに今月20日に控えた文化祭は、その運動会以上に各自の個性や違いを生かせる行事だと思っています。
だからこそ私は、一人ひとりが個性を発揮し、周囲はそれを尊重し、お互いの価値を認め合えるような文化祭であってくれるよう期待しています。ひいては、板三中がそういう行事(文化祭や運動会等)に象徴されるような、多様性と寛容性に富んだ学校であってくれるよう願っています。