※ 写真は、昨年の修学旅行で撮影した法隆寺です。
先日7年生が技術の授業で、木材の名称や種類・特徴等について学習していました。教科書では、スギ・ヒノキ・キリなど、それぞれの木材にそれぞれの特色があり、その特色に応じた用途があることを説明しています。
また、同じ木材でも、繊維方向によって強度が異なることや、水分の吸収(膨張)乾燥(収縮)により変形することも学習していました。木材の違いや、木材の中の部位の特性によって、まさに適材適所の使い道があるということがわかりました。
そんな授業を取材しながら、私はある本を思い出していました。それは、世界最古の木造建築群と言われる法隆寺の宮大工だった西岡常一さん(故人)の著書『木に学べ』です。宮大工とは、神社仏閣などの建築や修繕を行う大工さんのことです。
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1000年以上前に建てられた木造建築物を支える木について述べていながら、人としての生き方についても教えられる、皆さんにもお薦めの1冊です。その西岡さんが、こんなことを言っています。
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【木にはそれぞれクセがあり、1本1本違います。産地によって、また同じ山でも斜面によっても変わります。まっすぐ伸びる木もあれば、ねじれる木もある。材質も、堅い、粘りがあるなどさまざまです】
【木も、人間と同じ生き物です。今の時代、何でも規格を決めて、それに合わせようとする。合わないものは、切り捨ててしまう。人間の扱いも、同じだと思います。法隆寺が千年の歴史を保っているのも、みなクセ木を使って建築しているからです】
【個性を殺さず、クセを生かす。人も木も、育て方・生かし方は一緒です】
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さて、話は変わりますが、いよいよ運動会が今週末に迫りました。日頃から本校では、多様性(ここでは『様々な違いや個性』といった意味)を大事にしています。それは、運動会でも変わりません。
多くの学校の運動会種目が「より速く、より強く、より揃えて」を求められるのに対し、本校の運動会種目はそれ以上に「より楽しく、多様性を認めて」を重視しています(リレー種目を除く)。
代表的なものが、「より強く」を追求する『組体操』に代わって導入された『組ダンス』でしょう。男女・学年に関係なく、全校生徒が一堂に会して踊るダンスのBGMに、ケツメイシの『カラーバリエーション』(色の変化・種類・差異)を使っているのも、多様性の尊重を象徴しています。
「より速く」の求められるトラック種目は、選手も応援者も楽しみながら競技でき、なおかつ走力のある人が勝てるとは限らない『チャレンジ走』に変えました。さらに今年は、例年希望者の少ない『100m走』もプログラムから外し、初の試みとして『チャレンジ投』という投てき種目を導入しました。
また、「より揃えて」を求める入場行進の廃止も含め、開閉会式も簡素化しています。500名近い生徒が動作を揃えることを求められ、整列や行進の練習を繰り返していては、運動会を楽しめないと考えたからです。準備運動もより楽しく行うため、担当の先生がアレンジされたノリの良い『ビートイットラジオ体操』で行います。
再び、西岡常一さんの言葉です。
【木組は、木のクセ組。人組は、人のクセ組、心組】
私はこの言葉を、こう解釈しています。「木造建築は、木のクセをうまく組み合わせることで、頑丈な造りになる。それと同じように人の集団や組織も、一人ひとりの多様性を認め、個性を生かしながら皆が心を1つにした時、初めて堅固な絆で結ばれる」
3日の運動会は、お互いの多様性・個性を認め合い、皆が「勝つ」「楽しむ」というめあてを共有し、心を1つに全力を尽くしましょう、そのめあてが達成された時、板三中の運動会はスローガンどおり「東京で1番の運動会」となるに違いありません。