『時を越えて』~9B~
- 公開日
- 2025/10/17
- 更新日
- 2025/10/17
日々の様子
9年B組『時を越えて』
合唱曲「時を越えて」は、卒業ソングや合唱コンクールの自由曲として非常に人気が高く、
生徒たちの努力と未来への希望を歌い上げる感動的な楽曲です。
基本情報
作詞・作曲栂野 知子(とがの ともこ)
発表年2008年頃(音楽之友社より発表)編成混声三部合唱(中学生のクラス合唱で最も多く歌われる)など。
テーマ 青春時代のがんばりや挫折が、時を越えて未来の自分の「誇り」や「強さ」に変わっていくという、
成長と旅立ちのメッセージ。
制作背景 作者の栂野知子氏(元中学校教員)が、教え子の甲子園での活躍を見て感動し、
「厳しい練習に耐えた経験は、将来の人生の糧になる」という思いを込めて作詞・作曲した曲です。
楽曲の特徴と魅力「時を越えて」は、生徒たちの共感を呼ぶリアリティのある歌詞と、歌いやすいメロディーラインが特徴です。
感情の起伏が明確な構成:Aメロ(静かな導入): 「君の夢が一つ 叶おうとしているね」と、内省的で静かに歌い出し、
ここまでの道のりの苦労を振り返ります。ここでは、言葉を大切に、語りかけるように歌うことが求められます。
サビ(感動的な盛り上がり): 「精一杯の声を出した この瞬間が」の部分で一気に盛り上がり、クライマックスを迎えます。
努力の輝きを表現するように、明るく力強い声が求められます。
終盤のメッセージ: 曲の最後に「時を越えて 羽ばたいて」というフレーズがあり、未来へのエールとして強く響きます。
共感を呼ぶ歌詞:「この日の喜びと この日の悔しさを 忘れないように 深く胸に刻み込もう」など、
結果だけでなく、そこに至る過程での感情の揺れ動きをストレートに表現しており、
聴く者・歌う者の胸を打ちます。
歌いやすさとハーモニーの美しさ:メロディーラインが覚えやすく、音程も比較的取りやすいため、クラス合唱に適しています。
ピアノ伴奏が流れるように美しく、合唱のハーモニーを支え、感動を深めています。
合唱のポイント
歌詞の内容を深く理解し、「苦悩から希望へ」という感情の高まりをダイナミクス(強弱)に反映させる。
Aメロ4小節を一つのフレーズとして捉え、休符で気持ちを途切れさせず、語りかけるような滑らかな歌い方をする。
サビテンポを正確に保ちつつ、一気に声を解放し、力強く、誇りを持って歌う。
特に「力に」「誇りに」といった
キーワードに感情を込める。
ピアノ合唱の感情表現をリードし、流れるようなアルペジオなどで曲の世界観を支える。
1. 表現とメッセージのポイント
この曲の最大のテーマは「過去の努力が未来の誇りになる」ことです。感情の起伏を明確にしましょう。
Aメロは「語り」として大切に:
「君の夢が一つ 叶おうとしているね」「ここまでの道のりが 長く厳しかったこと」など、
前半は誰かに語りかけるように、内省的で温かい声で歌います。
フレーズ途中の短い休符は、言葉に詰まるのではなく、「間(ま)」として捉え、気持ちを途切れさせずに
次のフレーズへつなげる意識が大切です。(作者自身が「縦書き歌詞の1行を1フレーズだと思って」と語っています。)
サビは「解放」と「決意」:
「精一杯の声を出した この瞬間が」以降、クレッシェンド(だんだん大きく)を効かせて一気に声を解放します。
青春時代の努力の輝き、未来への希望を込めて、明るく力強く歌い上げます。
終盤の「力に」「誇りに」を意識:
「君が生きていく力に」「君が生きていく誇りに」といった言葉は、特に意識してアクセントをつけ、
力強い響きを持たせるようにしましょう。メッセージの核となる部分です。
最後の「時を越えて 羽ばたいて」:
最後のフレーズは、少しテンポを落として(ア・テンポ/rit.などを活用)、たっぷりと歌うと感動的です。
未来へ向かう強い意志と、優しく見守るような温かい気持ちを込めて、丁寧に終わりましょう。
2. 歌唱技術とハーモニーのポイント
ブレスの確保:
フレーズが長かったり、クレッシェンドで声を出す箇所が多いため、深いブレスを心がけ、
息切れしないようにしましょう。休符は単に息継ぎの場所ではなく、
次のフレーズへのエネルギーを蓄える場所と捉えます。
音程の安定:
サビなど盛り上がる箇所で、力みすぎると音程が上ずったり、平坦になったりしやすいです。
豊かな響きを保ちつつ、周りのパートの音をよく聴き、和音(ハーモニー)が響き合うように調整しましょう。
響きと発音(母音):
感動的な曲なので、ただ大きな声を出すだけでなく、口の奥(咽頭腔)を開き、
響きのある豊かな声を目指します。
母音を縦に開き、言葉が潰れないように発音を丁寧に扱いましょう。
3. パートと伴奏の役割
パートの役割を理解する:
曲によって主旋律を担当するパートが変わります。メロディーを歌うパートは前に出て、
ハモりや副旋律のパートは主旋律を邪魔しないように、音量バランスを整えましょう。
ピアノ伴奏との一体感:
ピアノは、合唱の気持ちを代弁するかのように、非常に感情豊かな演奏が求められます。
特に前奏や間奏で、これから歌う内容や、歌い手の気持ちを表現しているため、
歌い手は伴奏の音をよく聴き、感情の動きを共有しましょう。
指揮者とのコミュニケーション:
指揮者は、この曲の感情の起伏やテンポの変化を明確に示します。指揮者のブレスや手の動きをよく見て、
クラス(合唱)全員で気持ちを一つにすることが、最高の演奏に繋がります。
君の夢が一つ 叶おうとしているね 熱い思い重ねて たどり着いた場所 ここまでの道のりが 長く厳しかったこと
たくましくなった君の背中が 教えてくれる
この日の喜びと この日の悔しさを 忘れないように 深く胸に刻み込もう
精一杯の声を出した この瞬間が いつかきっと 君が生きていく力に 変わる時が来るから
君の夢が一つ 生まれようとしているね 何度も迷いながら たどり着いた道 あの日がゴールじゃなくて
スタートだったんだと
真っ直ぐに輝く君の瞳が 気づかせてくれた
あの日の喜びと あの日の悔しさも つまずいた時は そっと思い出してみよう
精一杯の力出した あの瞬間が いつかきっと 君が生きていく誇りに 変わる時が来るから
精一杯の汗と涙 流した数だけ きっと 君が生きていく強さに 変わる時が来るから
時を越えて 羽ばたいて
3年間をともに過ごした仲間達との日々と、これから立ち向かう受験に向けて、
すべてが凝縮された最高の楽曲です。
自分自身への応援歌として、大切に育てて欲しいと思います。
9年生だからこそ伝わる想いが、この楽曲には込められていると思っています。
ぜひ、クラスで一丸となり、納得のいく一曲に仕上げて欲しいと思います。
次回10月20日(月)は、C組を特集していきます。乞うご期待!
記事 風見 一統