学校日記

9年 音楽

公開日
2025/10/07
更新日
2025/10/07

日々の様子

9年生の音楽です。

合唱コンクールに向けて、国語科の先生とコラボ授業を展開しています。

各クラスの自由曲についての考えを深める授業でした。

本日は、区の研究も兼ねて、板橋区の中学校の音楽科の先生も参観されました。

このクラスが合唱するのは「春に」です。

谷川俊太郎さんの名作ですね。


詩「春に」は、谷川俊太郎さんの詩集『どきん』に収録されている作品で、

思春期の若者の内面的な感情を素直に、力強く表現しています。


テーマ: 詩が描くのは、春という季節に感じる「目に見えないエネルギー」や「声にならないさけび」といった、

   衝動、不安、焦燥感、そして新しいことへの期待が混じり合った、複雑で揺れ動く感情です。


「この気もちはなんだろう この気もちはなんだろう」

「声にならない さけびとなって こみあげる」


1. 詩のテーマ:「この気もちはなんだろう」

詩は、「この気もちはなんだろう」という問いかけを何度も繰り返し、

自己の内側から湧き上がる正体の分からない衝動やエネルギーに焦点を当てています。

エネルギーの発生源: 「目に見えない エネルギーの流れが/大地からあしのうらを伝わって」と、

そのエネルギーが自然や世界全体とつながり、身体を突き動かすように表現されます。

声にならない叫び: 湧き上がるエネルギーは「声にならない さけびとなってこみあげる」と表現され、

言葉にできないほどの強い感情のうねりを示唆しています。


2. 葛藤(せめぎあい)の表現

この詩の核となるのは、二律背反(相反する二つの感情)の共存です。

詩の主人公「ぼく」の心の中では、正反対の感情が同時に存在し、激しくせめぎ合っています。


感情の対立(対句) 意味する内面の状態

よろこびだ しかしかなしみでもある 新しい始まりへの期待と、変化や別れへの感傷

いらだちだ しかもやすらぎがある 成長への焦りや不満と、現状に留まることへの安心感

あこがれだ そしていかりがかくれている 未来への強い希望と、それに手が届かない現状への憤り

地平線のかなたへと歩きつづけたい / そのくせこの草の上でじっとしていたい 外の世界へ飛び出したい願望と、

                                   安全な場所に留まりたいという保守的な気持ち。

大声でだれかを呼びたい / そのくせひとりで黙っていたい 他者とのコミュニケーションを求める心と、内省を深めるための孤独を求める心。


これらの対立する感情は、「心のダムにせきとめられ/よどみ渦まきせめぎあい/いまあふれようとする」

という表現に集約され、内面が張り詰めている状態を描いています。


3. 「春」という季節の役割

この詩の背景にある「春」は、単なる季節ではなく、「新しい始まり」「成長」「変化」の象徴です。

外的な変化: 「枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく」など、周囲の自然が活気づく様子が、「ぼく」の内面のエネルギーと呼応しています。

内的な変化: 季節の変わり目である春は、まさに主人公が子どもから大人へと向かう時期(青春期)と重なり、

     未知の感情や将来への期待と不安が最も高まる時期として描かれています。


クラスのみんなで、しっかりと深めあい、ぜひ自分たちだけのオリジナル合唱を完成させてほしいと思います。

これからが、とても楽しみです。


     記事 風見 一統