おいしい給食「萩ご飯」
- 公開日
- 2025/10/06
- 更新日
- 2025/10/06
日々の様子
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10月6日(月)十五夜『中秋の名月』
今日のメニューは、萩ご飯、さわらの香味焼き、月見汁、牛乳です。
「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」は、旧暦の8月15日の夜に見える月のことを指し、
日本では古くからお月見をする風習があります。
太陰太陽暦(旧暦)で秋とされる7月・8月・9月のうち、ちょうど真ん中の8月15日の月であるため、「中秋」と呼ばれます。
2025年の中秋の名月は10月6日(月)です。
旧暦:8月15日
別名:芋名月(いもめいげつ)
この時期に収穫される里芋をお供えしたことに由来します。
中秋の名月は、必ずしも満月(新月から数えて約15日後の月)の日とは限りません。
これは、旧暦の決め方と月の実際の満ち欠けの周期にズレが生じるためです。
2025年の満月は、中秋の名月(10月6日)の翌日、10月7日になります。
お月見の風習
中秋の名月を愛でるお月見の風習は、平安時代に中国から伝わったと言われています。
日本では、この時期の収穫を感謝し、祈りを捧げる農業の行事と結びついています。
お月見のお供
月見団子:月に見立てて丸く作った団子。給食の黄色い白玉は、かぼちゃをイメージしています。
ハート形!ありましたか!?
すすき:稲穂に見立て、魔除けの意味があるとされます。
里芋などの収穫物:芋名月の名の通り、収穫に感謝して供えます。
美しい月を眺めながら、秋の味覚や行事を楽しむ良い機会ですね。
「中秋の名月」と「十五夜」の違い
項目 中秋の名月 十五夜
意味 旧暦の8月15日の夜に見える月を特別に指す言葉。一年で最も美しいとされる。 旧暦の毎月15日の夜を指す言葉。
回数 秋に年1回(旧暦8月15日)。 毎月ある(年12回)。
由来 中国の「中秋節」が平安時代に伝わり、日本の古来の風習と融合したもの。 旧暦の暦からくる単なる日付。
つまり、「中秋の名月」は、数ある「十五夜」の中でも、秋の真ん中(中秋)の特に美しい月を指す特別な呼び名です。
別名「芋名月」について
中秋の名月(十五夜)は、別名「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれます。
由来: この時期、里芋などの芋類の収穫期にあたります。
昔の日本では、米が主食となる以前は里芋などの芋類が大切な主食でした。
そのため、豊作に感謝し、収穫した里芋をお供えしたことからこの名がつきました。
お供え: 月見団子やススキのほかに、里芋を供える風習があります。
日本独自の風習「三月見(さんげつみ)」
日本には、中秋の名月(十五夜)の他に、さらに2回お月見をする独特の風習があり、これらを合わせて「三月見(さんげつみ)」と呼びます。
月見の種類 旧暦の日付 2025年の日付 別名・特徴
十五夜 8月15日 10月6日(月) 芋名月。秋の豊作を祈願する意味合いが強い。
十三夜 9月13日 11月2日(日) 栗名月・豆名月。十五夜の次に美しいとされ、栗や豆を供えて収穫を感謝する日本独自の風習。
十日夜 10月10日 11月29日(土) 収穫祭。東日本を中心に行われる稲の刈り取りが終わった時期の行事。
月を鑑賞するよりも、田の神様を送り出す農耕儀礼の意味合いが強い。
特に「十五夜」と「十三夜」の両方を見てこそ完全な月見とされ、片方しか見ないことを「片見月(かたみつき)」と呼び、
縁起が悪いとされてきました。
なぜ「うさぎが餅つき」なのか
月には、黒い模様がありますが、日本では古くからこの模様を「うさぎが餅つきをしている姿」に見立てて親しんできました。
由来: 元々は古代インドの仏教説話で、自分を犠牲にしたうさぎの姿が月に移されたという話や、
古代中国でうさぎが不老不死の薬をついているという話が日本に伝わり、
それが日本の収穫祭の行事と結びついて「餅つき」に変化したと考えられています。
月の満ち欠けによる呼び名
十五夜だけでなく、前後の月にも風情のある呼び名があります。
月齢 呼び名 意味・由来
14日 待宵月(まつよいづき) 翌日の名月(十五夜)を待つ月。
16日 十六夜(いざよい) 「いざよう(ためらう)」の意味。十五夜より月の出が遅くなることを、月がためらっている様子に見立てた。
17日 立待月(たちまちづき) 立って待っているうちに月が昇るという意味。十六夜よりさらに月の出が遅くなる。
18日 居待月(いまちづき) 月の出が遅いので、座って待つという意味。
19日 寝待月/臥待月(ねまちづき/ふしまちづき) さらに月の出が遅くなり、寝て待つという意味。
このように、中秋の名月は、単に美しい月を眺めるだけでなく、
季節の移り変わり、収穫への感謝、
そして日本の歴史と文化が詰まった奥深い行事なのです。
サワラ(鰆)は、その名前の通り「春」の字を持つ魚ですが、地域や時期によってその旬や味わいが大きく異なる、非常に奥深い魚です。
鰆(サワラ)の基本情報
1. 分類と特徴
分類: スズキ目サバ科サワラ属の海水魚。サバの仲間ですが、サバ特有の青魚臭さがあまりなく、上品な味わいが特徴です。
体型: 細長く、体高が低いスマートな体型をしています。口には鋭い歯が並んでおり、この細長い体型が名前の由来にもなっています。
肉質: 白身魚のように見えますが、分類上は赤身魚です。しかし、マグロのような強い赤身ではなく、
身の色は淡く、白身魚のような上品な味わいです。肉質は非常に柔らかく、火を通すとふっくらと仕上がりますが、
生の状態では身が崩れやすいという特性もあります。
大きさ: 最大で全長1メートル以上、体重10キロを超える大型の魚です。
2. 出世魚としての呼び名
サワラは成長に伴って呼び名が変わる「出世魚」です。地方によって異なりますが、一般的な呼び方は以下の通りです。
大きさ(目安) 呼び名
40~50cm以下 サゴシ/サゴチ
50~60cm程度 ヤナギ(ナギ)
60cm以上 サワラ
3. 名前と漢字の由来
漢字(鰆): 魚へんに「春」と書くのは、春になると産卵のために瀬戸内海などの沿岸(内湾)に押し寄せ、
大量に獲れるようになるためです。俳句でも「サワラ」は春の季語とされています。
和名(サワラ): 体が細長いことに由来し、「狭腹(さわら)」から転じたという説が有力です。
「サ(狭)」は狭いを、「ハラ(腹)」は腹部を意味します。
4. 旬は二度!地域による違い
サワラは、同じ魚でありながら、地域によって好まれる旬が異なります。
地域 旬の時期 呼び名 味わいの特徴
関西(西日本) 春(3月〜5月頃) 春鰆(はるざわら)
産卵期直前・直後のため、身が柔らかく、淡白でさっぱりとした上品な味わい。真子(卵巣)や白子も珍重される。
関東(東日本) 冬(12月〜2月頃) 寒鰆(かんさわら)
産卵に向けて栄養を蓄えるため、脂がたっぷりと乗り、濃厚な旨みが楽しめる。刺身や寿司で特に人気。
現在では、一年を通して流通していますが、どちらの時期もそれぞれの良さがあり、好みが分かれます。
5. 主な料理と美味しい食べ方
サワラは身が柔らかく、小骨も少ないため、様々な料理に活用されます。
料理法 おすすめの時期・特徴
刺身・たたき 冬の寒鰆(特に新鮮なもの)。
濃厚な脂のりは「マグロの中トロに匹敵する」とも言われ、西日本では非常にポピュラーな食べ方です。
皮目を軽く炙って香ばしさを出すと、より美味しくなります。
西京焼き 焼き魚の定番。上品な身と白味噌の風味が非常によく合い、京料理などでも定番です。
身が崩れやすいため、事前に塩で締めておくと扱いやすくなります。
塩焼き 脂ののった寒鰆は、シンプルに塩焼きにするだけでも絶品です。
煮付け 身の柔らかさを活かし、甘辛く煮付けるとご飯が進みます。
天ぷら 身が崩れやすいため、衣をつけて揚げる天ぷらは、身崩れを防ぎつつ、ふっくらとした食感を楽しめます。
郷土料理 岡山県のばら寿司(祭り寿司)や、甘辛い出汁でさっと煮て食べる「いり焼き」など、西日本では伝統的な食材として欠かせません。
6. その他
栄養: DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった良質な脂質(不飽和脂肪酸)、
ビタミンD、ビタミンB群などが豊富に含まれており、健康にも良い魚です。
鮮度: 身が柔らかいため、鮮度が落ちやすい魚でもあります。新鮮なものは目が澄んでいて、全体にハリがあるものを選ぶのがポイントです。
「萩ご飯(はぎごはん)」は、秋の風情を楽しむために作られる、日本の季節のご飯(炊き込みご飯)の一つです。
その最大の由来と特徴は、秋の七草の一つである「萩(はぎ)」の花と葉を表現している点にあります。
萩ご飯の主な特徴と意味
項目 特徴 見立て
花 小豆(あずき)または黒米の赤紫色 小さな蝶のような萩の花
葉 枝豆、銀杏(ぎんなん)、または紫ずきんの緑色 萩の葉や、秋の緑
時期 秋(特に秋の七草が見頃を迎える頃) 季節感を味わうための料理
ベース 米ともち米、または米のみを、塩やだしで炊き込む
由来と背景
萩ご飯は、食卓に季節の趣を取り入れるという、和食特有の文化から生まれた料理です。
秋の七草「萩」: 萩は秋の野山を彩る代表的な植物で、小さく赤紫色の可憐な花を咲かせます。
色の表現: 萩の花は観賞用で食用ではないため、古くからその花の色に似た小豆を使って、
ご飯で秋の風情を表現するようになりました。小豆は赤飯と同様に、邪気を払う縁起物としての意味もあります。
完成形: 赤紫色になったご飯に、萩の葉に見立てた緑色の枝豆や銀杏を混ぜ込むことで、彩り豊かな「萩の咲く野原」を表現します。
赤飯との違い
萩ご飯と赤飯はどちらも小豆(またはささげ)を使いますが、目的と調理法が異なります。
項目 萩ご飯 赤飯
目的 季節の風情を楽しむ(秋の食卓の演出) 祝い事や行事食(ハレの日)
調理法 米と小豆を一緒に炊き込む。小豆は硬めに茹でてから使うことが多い。 もち米を主とし、小豆(ささげ)の煮汁で色をつけ、蒸すか炊く。
色 淡い赤紫色(小豆の量が少なめのことも多い) 濃い赤色
このように、萩ご飯は秋の訪れを五感で楽しむための、繊細で趣のある季節の炊き込みご飯です。
すっかり、秋の味覚に給食も様変わりしています。
古き良き日本人の歴史を感じることができますね。ひとつひとつの食材に、料理には、
すべて、その当時生きた人々の想いや願いが込められて、今も受け継がれていることに
改めて、人の想いの伝承を感じさせてくれますね。
ずいぶんと、便利でなんでもそろう世の中にはなりましたが、日本人としての
アイデンティティーだけは損なわずに、今の時代のことも、将来語り継がれるような
歴史を刻めたらよいですね。
今日も、すべてに感謝の気持ちを忘れずに、食を楽しみましょう。
記事 風見 一統