学校日記

虫時雨

公開日
2020/12/10
更新日
2020/12/10

学校日記

 給食中、失礼いたします。
 今日もこの給食の時間を利用して放送で、皆さんにお話をしたいと思います。給食を食べながら話を聞いてください。
 皆さんは「虫しぐれ」という言葉を聞いたことはありますか。虫しぐれとは草むらでたくさんの虫が競うように盛んに鳴いている様を表す言葉です。俳句ではまさに今の季節を表す季語としても使われます。今日はその秋に鳴く虫たちのお話をします。鳴き声の代表的なものは
 スズムシ:リーンリーン
 マツムシ:チンチロリン
 コオロギ:コロコロコロ、キリキリキリ、リーリーリー  
 クツワムシ:ザー、ガチャガチャ などがあります。
 ところで虫の声とか鳴くという言い方をしますが、正確には体を動かしながら2枚の羽をこすり合わせる仕組みになっています。虫が好きな人や詳しい人は知っていると思いますが、鳴くのは雄です。では何のために鳴くのでしょうか。だいたい次の3通りに分けられるそうです。
 誘い鳴きといって、近くに雌がいるときに結婚してほしいとつたえるため。本鳴きといって、縄張りを守るため。争い鳴きといって、雄同士が自分の方が強いぞと相手に示すため。だそうです。
 そして、日本では古くから秋の夜長に虫の声を楽しむ風流な行事が行われていました。日本では虫の声は風流なもの。しかし、西洋では虫の声をノイズととらえるといわれ、虫の声を認識しても季節感を感じることはないようです。なぜなら日本では秋が実りの季節であり、私たちに豊かな恵みをもたらしてくれるのに比べ、冬の訪れの早い北米やヨーロッパでは厳しい季節に向かう前触れとして秋にあまり良い印象がない地域もたくさんあるようです。ましてや虫カゴに入れて鳴き声を楽しむという発想は欧米には見られません。
季節の様々な音を楽しみ、そこから想像を広げていく文化的豊かさは日本語のよさともいえますね。