学校日記

おいしい給食「仙台麩の卵とじ丼」

公開日
2025/09/26
更新日
2025/09/26

日々の様子

9月26日(金)職場体験最終日

今日のメニューは、宮城県郷土料理の日

仙台麩の卵とじ丼、おくずかけ、豆腐入り白玉ずんだ、牛乳です。


宮城県の郷土料理とされる「仙台麩(せんだいふ)」についてです。

これは、もともと「油麩(あぶらふ)」と呼ばれ、宮城県北部(特に登米(とめ)市)や岩手県南部にかけて古くから伝わる特産品です。


食材としての特徴:


揚げ麩の一種: 小麦粉と、小麦粉に含まれるたんぱく質(グルテン)を練り合わせ、

      棒状に成形したものを植物油でじっくりと時間をかけて揚げたものです。


形状と風味: フランスパンのような細長い形をしており、揚げているため独特の香ばしさとコクがあります。

     煮物などに使うと出汁や調味料をたっぷりと吸い込み、ジューシーな食感になります。


歴史: 明治時代末期に、冷蔵技術がなかった当時、お盆の精進料理で使われる豆腐や油揚げが傷みやすいという

  課題を解決するために、登米の豆腐店で考案されたのが始まりとされています。


郷土料理の代表例: 油麩丼(あぶらふどん)

「仙台麩」を使った最も有名な料理が「油麩丼」です。

これは、カツ丼や親子丼と同じ要領で、肉の代わりに油麩を使い、玉ねぎなどと一緒に甘辛い煮汁で煮て卵でとじた丼ぶりです。

煮汁を吸った油麩は、肉に負けないほどのボリューム感と旨味があり、

B-1グランプリに登場したことで全国的な知名度が上がりました。

精進料理がルーツのため、ヘルシーで、菜食主義(ベジタリアン、ヴィーガン)の方の代替肉としても注目されています。


「仙台麩」という名称について:

もともと「油麩」として親しまれていましたが、1998年頃に製造元の一つである山形屋商店が、

地域の特産品として広く知ってもらうために「仙台麸」と商品名称を定め、商標登録を行いました。

現在では、この名称も広く使われています。

この他にも、煮物、味噌汁、うどん・そばの具、炒め物など、様々な料理に活用される万能な食材です。

近年では、フレンチトーストやラスクなどのスイーツにもアレンジされています。


宮城県の郷土料理「おくずかけ」について


おくずかけは、主に宮城県南部(仙南地方、特に白石市周辺)に古くから伝わる、具だくさんの汁物またはあんかけ麺料理です。


1. おくずかけとは

特徴: 数種類の野菜、豆腐や油揚げ、豆麩(まめふ)などを出汁で煮込み、

白石温麺(うーめん)を加えて、とろみをつけた料理です。


とろみの由来と名称:

昔は葛(くず)の粉でとろみをつけていたことから、「お葛かけ」となり、それが転じて「おくずかけ」と呼ばれるようになりました。

現在は、手軽な片栗粉でとろみをつけることが一般的です。


役割: 仏事や法要、特に春秋の彼岸やお盆の時期に、精進料理(肉や魚を使わない料理)として作られ、

  仏前へのお供えや集まった人たちへのおもてなしとして供されてきました。


2. 主な具材と味付け

分類/主な具材/野菜

里芋、にんじん、ごぼう、きのこ(干し椎茸とその戻し汁)、なす、いんげん、みょうが、せりなど、季節の野菜を細かく切って使います。

たんぱく質 豆腐、油揚げ、豆麩(丸い小さな麩)など。精進料理においては貴重なたんぱく源でした。

白石温麺(うーめん)が使われるのが特徴的です。温麺は油を使わずに作られるため、消化に良いとされています。

味付け 椎茸や昆布でとった出汁をベースに、醤油やみりんなどで調味し、あっさりとした優しい味に仕上げます。


3. 歴史・由来

おくずかけのルーツは、江戸時代に中国から伝わった黄檗宗(おうばくしゅう)の

普茶料理(ふちゃりょうり)にあるとされています。

発祥の地: 仙台市の南部にある黄檗宗の寺院「大年寺」が発祥の一つと言われています。

普茶料理の「雲片(うんぺん)」: 普茶料理の代表的な一品である「雲片」(油で炒めた野菜を葛でとじたもの)を

               作る際に残った野菜の皮や根などを細かく刻み、葛でとじて作られたのが、

               おくずかけの原型だと伝えられています。


郷土食への広がり: やがて、葛のとろみは冷めにくく体が温まる、白石温麺は消化が良いといった特徴から、

        宮城県南部の家庭料理として定着していきました。


4. 地域による類似料理

宮城県北部など、地域によっては「おくずかけ」とよく似たあんかけ汁物が伝わっており、

「すっぽこ」や「のっぺい汁」などと呼ばれることもあります。これらは、日常食として食べられるなど、食す機会に違いがある場合もあります。


宮城県の郷土料理「ずんだ」について

ずんだは、特に宮城県や東北地方の南部で古くから愛されてきた、鮮やかな緑色が特徴的な食文化です。

1. ずんだとは

「ずんだ」とは、ゆでた枝豆(未成熟な大豆)をすりつぶして作る、ペースト状の餡(あん)のことを指します。

原材料: 主に枝豆を使いますが、地域によってはそら豆を使うこともあります。

製法: 枝豆を茹でてから薄皮をむき、すり鉢やミキサーなどで潰し、砂糖と少量の塩を加えて甘く味付けします。

食感と風味: 小豆から作る餡とは異なり、枝豆の風味が豊かで、豆の粒々とした食感が少し残っているのが特徴です。

用途: 最も代表的な食べ方は「ずんだ餅(ずんだもち)」で、つきたてのお餅や白玉団子にこの餡を絡めて食べます。


2. 歴史と名前の由来

ずんだの歴史は古く、戦国時代にまで遡ると言われています。名前の由来には諸説あります。

①豆打(ずだ)説 豆を潰す、または打つことを意味する言葉「豆打(ずだ)」が訛って「ずんだ」になったという説が最も一般的です。

②甚太(じんた)説 甚太という農夫が考案し、伊達政宗公に献上したところ「甚太餅(じんたもち)」と名付けられ、それが訛ったという説。

③陣太刀(じんだち)説 仙台藩の初代藩主、伊達政宗公が、戦場で枝豆を陣太刀(武士の刀)の柄で潰して餅に和えて食べたことから、

          「陣太餅」と呼ばれたという説。

伝統的な機会: 枝豆の旬である夏から秋にかけて収穫されるため、昔はお盆やお彼岸の際の精進料理や、

神仏へのお供え物として家族総出で作られていました。


3. ずんだを使った主な料理・商品

伝統的な「ずんだ餅」だけでなく、近年は「ずんだ」を活かした様々な商品が開発され、全国的な人気を得ています。

①伝統的な和菓子   ずんだ餅、ずんだ団子、ずんだ大福

②和え物       ずんだ和え(なすや山菜など)、ずんだ豆腐(塩味で調味)

③スイーツ       ずんだシェイク(特に有名)、ずんだロールケーキ、ずんだプリン、ずんだアイス、ずんだどら焼きなど

④その他       ずんだあんぱん、ずんだかき氷、ずんだの風味を加えたスナック菓子など

特に「ずんだシェイク」は、仙台駅などで販売されている人気商品で、ずんだの魅力を広く知らしめるきっかけとなりました。


4. 栄養面の特徴

ずんだの主原料である枝豆は、黄色く熟す前の大豆(豆類)でありながら、緑黄色野菜の仲間にも分類されます。

高タンパク・低カロリー: 大豆と同じく良質な植物性たんぱく質が豊富です。

ビタミン・ミネラル: ビタミンB1(糖質の代謝を助ける)、鉄分などが豊富に含まれています。

健康効果: 疲労回復や夏バテ防止、アルコールの分解を助ける成分(メチオニン)を含むため、夏場の栄養補給としても重宝されてきました。

鮮やかな緑色と素朴で優しい甘さが、ずんだの大きな魅力です。


宮城県について

宮城県は、「杜の都」と呼ばれる県庁所在地の仙台市を中心に、

豊かな自然、歴史・文化、そして魅力的な食が調和した、非常に魅力的な場所です。


特に際立つ「良さ」とは

1. 豊かな自然と絶景

宮城県は西に奥羽山脈、東に太平洋が広がり、山と海、両方の雄大な自然を満喫できます。

日本三景・松島: 260余りの島々が浮かぶ景勝地で、特に日の出や夕焼けの景色は格別です。遊覧船からの観光が人気です。

蔵王連峰と御釜(おかま): 宮城・山形にまたがる蔵王連峰には、エメラルドグリーンに輝く

            神秘的な火口湖「御釜」があります。冬は樹氷、春は雪の回廊など四季折々の美しさがあります。

鳴子峡(なるこきょう): 日本有数の紅葉の名所として知られ、大谷川が侵食してできた深さ100mの大峡谷の景色は圧巻です。

名湯の宝庫: 秋保(あきう)温泉、作並温泉、鳴子(なるこ)温泉郷など、歴史ある温泉地が多く、様々な泉質で旅の疲れを癒せます。


2. 独自の歴史と文化

仙台藩の初代藩主、伊達政宗公が築いた城下町「仙台」を中心に、今もその文化や歴史が息づいています。

仙台城跡(青葉城跡): 政宗公が築いた城の跡地で、現在も残る石垣や騎馬像は仙台のシンボルです。本丸跡からの眺望は、仙台市街を一望できます。

瑞巌寺(ずいがんじ)と円通院(えんつういん): 松島にある、伊達政宗ゆかりの寺院。国宝の建築物や、美しい庭園など、歴史を感じるスポットです。

仙台七夕まつり: 江戸時代初期から続く伝統的なお祭りで、毎年8月に開催されます。

         街中を彩る豪華絢爛な七夕飾りは、東北三大祭りにも数えられます。

宮城の餅文化: お祝い事や年中行事にお餅を食べる文化が根付いており、「ずんだ餅」以外にも、

      くるみ餅、ごま餅、納豆餅など50種類以上のバリエーションがあると言われています。


3. 豊富なご当地グルメ

世界三大漁場の一つである三陸沖と、肥沃な仙台平野の恵みにより、海の幸、山の幸が豊富です。

牛タン焼き: 全国的に有名な仙台名物の筆頭です。厚切りで柔らかく、熟成された旨味が特徴で、麦飯、テールスープと共に提供されます。

海の幸:

   牡蠣(かき): 松島湾をはじめとする三陸海岸は有数の牡蠣の産地です。

   ほや: 「海のパイナップル」とも呼ばれ、生産量は全国トップを誇ります。

   はらこ飯: 秋の郷土料理で、鮭の煮汁で炊いたご飯の上に、鮭の身といくら(はらこ)をたっぷり乗せた料理です。


ずんだ: 前述の通り、枝豆をすりつぶして作る餡で、「ずんだ餅」のほか、「ずんだシェイク」などのスイーツも人気です。

笹かまぼこ: ヒラメなどの白身魚を笹の葉の形に整えて焼いた、仙台を代表する特産品です。

仙台牛: 霜降りの最高ランク(A5またはB5)に格付けされたものだけが名乗れる、全国でも珍しい超高級ブランド牛肉です。


4. 快適な都市機能と利便性

県都の仙台市は、地方都市でありながら利便性が高く、住みやすさも魅力です。

「杜の都」の住みやすさ: 市内中心部にケヤキ並木の「定禅寺通」などがあり、豊かな緑が保たれています。

           都会的な機能と自然が近接しているため、「杜の都」と呼ばれます。


交通アクセス: 東北新幹線や東北自動車道が整備され、東北地方の交通の拠点となっています。

      東京へのアクセスも新幹線で最短約1時間30分と良好です。


プロスポーツ: 野球(東北楽天ゴールデンイーグルス)やサッカー(ベガルタ仙台)、バスケットボール(仙台89ERS)などの

プロチームがあり、スポーツ観戦が楽しめます。


今日は、郷土料理メニューでした。

9年生は、大阪・京都・奈良と繋いでの宮城料理でしたね。

日本各地では、その地域に根付いた食材を利用し、地元ならではの料理があります。

流通や情報が進み、訪れなくても食べることはできますが、やはり本場は違いますよね。


名所を巡りながら、先人たちも同じ景色に心を打たれながら食したであろう

郷土料理を、時代を重ねながら味わうことも、また風情ですね。


今日は、8年生が一生懸命に白玉をこねてくれました。

作りたての白玉は、とっても弾力と柔らかさが融合していて、美味でしたね。

給食室と、8年生の料理人に感謝の気持ちを忘れずに、おいしくいただきましょう。



     記事 風見 一統