12月に入りました。この12月は、お坊さんも走り回るほど忙しい月であることから「師走」とも呼ばれます(他にも諸説あります)。確かに、例えば先生方も学期末の成績処理、進路関係の相談や事務処理等で、精神的には「走り回るほど忙しい月」でもあります。
【ボーっと生きてんじゃねーよ!】
知っている人も多いと思いますが、このセリフはNHKの人気クイズ番組『チコちゃんに叱られる!』で、5歳の着ぐるみの女の子チコちゃんが、クイズに答えられない大人に言う決めゼリフです。
そんなチコちゃんが私を見たら、きっと先の決めゼリフで叱りつけるでしょう。なぜなら私には、12月だろうと何月だろうと毎日、チコちゃんの言葉を借りれば「ボーっと生きる」時間が必要だからです。具体的には一日の始まりや終わりに、私は意識して「ボーっと生きる」時間をつくっています。
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朝、コーヒーを飲みながらボーっとする。そして、今日一日の流れを、なんとなく考える。それが私の一日の始まりです。夜は、コーヒーではなくお酒が多いので、ちょっと良い気分になってボーっとする。
そして、膝の上で寝ている犬をなでながら、趣味の熱帯魚水槽を眺めたり、孫と遊ぶことを考えたりしているうちに眠くなる。そんなふうにして、私の一日は終わるのです。
数年前になりますが、『プーと大人になった僕』という映画を観ました。かつて「100エーカーの森」でくまのプーさんやロバのイーヨーたちと遊んだ少年クリストファー・ロビンは、大人になり都会で仕事第一の忙しい日々を送っていました。
そして、家族の信頼を失いかけ、仕事でも窮地に立たされてしまいます。そんなクリストファー・ロビンの前に、再びプーさんと仲間たちが現れ、本当に大切なものは何かを思い出させてくれるという物語でした。
映画の中で、時間に追われ仕事に振り回されるクリストファー・ロビンに、プーさんの言うこんなせりふがありました。
【何もしないって、最高の何かにつながることなんだ】
現代社会を生きる私たちは、「忙しい」「時間がない」が口癖のようになっています。それを全否定するつもりはありません。むしろダラダラと無為に時間を使うよりは、よほど充実しています。ただ私は、「時間に追われる」生活を毎日繰り返していたら、いつか心身共にパンクしてしまうのではないかと思うのです。
時間は「追われる」ものではありません。自分から「追う」ものです。例えば、一日の始まりに「今日は、何をどこまで頑張るか」を決める。それを目標に過ごすのは、「時間に追われる生活」ではなく「時間を追う生活」です。
それで予定どおりに物事が進まなかったとしても、くよくよする必要はありません。頭をリセットし、また次の日、時間の使い方を考えればよいだけの話です。私にとっては朝晩の「ボーっと生きる」短い時間が、それに役立っていると言えます。
あえて「何もしない」時間をつくることも、時間をコントロールすることです。逆に時間にコントロールされる習慣が身に付いてしまうと「忙しい」「時間がない」が口癖になります。映画『プーと大人になった僕』の中で、プーさんはこうも言っていました。
【僕は『何もしない』を、毎日しているよ】
チコちゃんに叱られるかもしれませんが、意識的につくった「ボーっと何もしない」ひとときが、その次の「何かをする」につながることもあります。
だとしたら【何もしないって、最高の何かにつながる】【『何もしない』を、毎日する】というプーさんの言葉は、忙しい現実世界で少しでも豊かな人生を送るヒントに、なるかもしれません。