読みましたか!??『海の中の観覧車』
- 公開日
- 2025/06/20
- 更新日
- 2025/06/20
日々の様子
『海の中の観覧車』
『海の中の観覧車』という作品を読み終えたとき、私は静かな感動に包まれていました。それは涙がこぼれるような激しい感情ではなく、まるで心の奥底で波が穏やかに打ち寄せるような、やさしくもしっかりとした余韻でした。この作品は、ひとつの観覧車と、それをめぐる登場人物の記憶を軸に、「過去との向き合い方」という普遍的なテーマを描いています。読後、私は自分の記憶や、心の中に沈めてきた感情と向き合うきっかけをもらった気がしました。
物語の舞台は、かつて海辺にあった遊園地。そのシンボルだった観覧車は、今では海の中に沈んでしまっています。主人公は、子どものころにこの観覧車に乗った思い出を持っていますが、それはただの楽しい記憶ではなく、ある大切な人との関係や、過去に残してきた後悔とも結びついています。その観覧車はもう動かないし、二度と元の場所には戻らないけれど、心の中には確かに存在している――その描写がとても印象的でした。
観覧車は、空へとゆっくりと昇り、また同じ場所に戻ってくる乗り物です。その「一周する」という性質は、私たちの記憶や人生の時間の流れを象徴しているように感じました。人は誰でも、戻りたい過去ややり直したい瞬間があるものです。でも実際には、時間は止まらず前に進んでいきます。その中で、どうやって過去の出来事と折り合いをつけ、自分自身と向き合っていくかが、人生の大きな課題なのだと気づかされました。
また、この作品の中で繰り返し登場する「海」というモチーフも深く心に残りました。海は広大で美しく、一見すると静かですが、その底には見えないものがたくさん沈んでいます。記憶や感情も、それと同じように表からは見えないけれど、確かに私たちの心の中に存在しています。主人公が沈んだ観覧車と向き合うことは、心の海に沈めていた思い出と再び向き合うこと、そしてそれを受け入れることの大切さを教えてくれました。
私はこの物語を通して、「忘れること」だけが心の癒しではないのだということを学びました。むしろ、傷ついた記憶も、後悔も、自分の一部として受け入れていくことで、人は少しずつ前へ進めるのではないかと思います。そして、過去の出来事に再び目を向けたとき、それが新しい意味を持ち、自分を支える力になることもあるのです。
『海の中の観覧車』というタイトルは、読んだ後にはただの比喩ではなく、心に深く沈んでいる誰かの思い出そのもののように感じられました。私自身も、これまでに見てきた景色や、誰かと過ごした時間が、心の奥に小さな観覧車のように回り続けていることに気づきました。たとえ目に見えなくなっても、それらはきっと、私という人間を形づくる大切な一部なのだと思います。
この作品は、誰もが持っている「心の中の風景」をそっと照らしてくれるような、やさしくて力強い物語でした。私はこの本に出会えたことに感謝しながら、これからも自分自身の「心の海」に耳をすませて生きていきたいと思います。
いかがでしょうか!?この作品の奥深さが、伝わっていたらとても嬉しいです。
ぜひ、読む本に悩んでいる中台中生がいれば、読んでみてください。
先ほど、図書室を確認したら、まだ一冊、借りられる状態で、本棚に収まり、ご主人様を
待っているようです。今日の、昼休みがチャンス!
ぜひ、自分の目で、頭で、心で、巡る巡る輪廻物語を楽しんで欲しいと思います。
記事 風見 一統