今年度本校では『板三中・教員授業しぐさ』を策定しました。「しぐさ」とは「ちょとした動作や姿勢」のことです。そのため「教員授業しぐさ」と聞くと、授業中の先生方の動作や姿勢のことかと思うかもしれませんが、実は違います。
ベースは、生徒の皆さんが授業中にとるべき動作や姿勢、態度、つまり「授業規律」です。ただし、板三中の先生方は、それを紙に書いて教室に貼り出し、生徒の皆さんに一方的に押しつけるつもりはありません。
むしろ全ての先生方が、全ての授業で意識することで、自然に生徒の皆さんに身につけてもらおうという趣旨から、あえて「教員しぐさ」としたのです。
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全部で25項目あるそのしぐさの一例を挙げると「頭をうなだれた姿勢(机に突っ伏した姿勢も含む)をとらせない」「教科書を音読させる際には、背筋を伸ばし教科書を立てさせる」「説明の際には他の作業をやめて静かにさせ、体ごと教員の方を向かせる」などがあります。
それらを見てもわかると思いますが、いずれも主語は「先生は」です。先ほども言ったように25項目のしぐさは全て「生徒に守らせる規律」というより、「先生方が意識して、生徒と一緒に守っていく規律」なのです。
さて、本校のたった1つの校則『Be Gentleman(紳士であれ)』には、誰もが快適な集団生活を送るための付則として『あじみこし(挨拶・時間・身だしなみ・言葉遣い・姿勢)』があります。
『教員しぐさ』はその中の姿勢とも関連させ、皆さんに正しい姿勢・態度で授業を受けてもらうことで、皆さんの学力を向上させたいとの願いも込められています。
少し前のことですが、「いつやるか? 今でしょ!」の流行語で有名になった予備校講師の林修先生が、あるテレビ番組で興味深い話をされていました。
そのテレビ番組は「我が子が勉強しないで困っている」「どうやったら我が子の成績を上げられるか」といった悩みをもつ親たちに、林先生が講義形式で答えるというものでした。
そして、そんな親たちに対する林先生の回答は、至って明快でした。それは「親が子に対して行う躾(しつけ)で一番大切なのは、姿勢を良くすることだ」というものです。少し詳しく言うと、以下のようになります。
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なぜ、集中力が続かないか? それは、集中する姿勢ができていないから。なぜ、宿題ができないか? それは、きちんと宿題をやろうとする姿勢ができていないから。だから、姿勢の良い子には成績の良い子が多い。それは、姿勢の良い不良がいないのと同じ。2時間勉強したければ、それができるような姿勢をしなければならない。「集中力がない」というのは「集中できる姿勢が訓練されていない」ことの表れである。
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さらに林先生は、直立歩行という人間特有の姿勢によって、人間の脳は他の動物以上に発達したという話も引用されていました。カリスマ講師として人気を博す先生の話だけに、説得力もあるような気がします。
授業中、頬杖をついて横を向いたり、机に突っ伏すようにしていたりする人がいます。その一方で、しっかり先生の方を向き、背筋を伸ばして授業を受けている人もいます。両者の集中力の差は、歴然としています。
そして、歴然とした集中力の差は、そのまま理解度の差、はっきり言えば学力の差に結びついていきます。「姿勢の良い子には、成績の良い子が多い」という林先生の言葉は、まさにそのことを言っているのです。
初めに話したとおり、先生方も『教員しぐさ』を念頭に、皆さんに良い姿勢で授業を受けてもらう努力をします。一方で皆さんにも、こう意識してもらいたいと思います。
「授業中の正しい姿勢、いつやるか?」「いつもでしょ!」