先日の避難訓練後、教室で東京都教育委員会の『関東大震災100年』というチラシが配られ、100年前に発生した震災について先生から簡単な説明があったかと思います。以下、内閣府の公式HPより、関東大震災に関する説明を一部引用します。
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【大正12年(1923年)9月1日11時58分に、相模湾北西部を震源とするマグニチュード7.9と推定される関東大地震が発生しました。この地震により、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県で震度6を観測し…(中略)…10万棟を超える家屋を倒潰させました】
【また、発生が昼食の時間と重なったことから、多くの火災が発生し、大規模な延焼火災に拡大しました。この地震によって全半潰・消失・流出・埋没の被害を受けた住家は総計37万棟にのぼり、死者・行方不明者は約10万5000人に及ぶなど、甚大な被害をもたらしました】
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改めて大きな震災だったと思う一方、今日私が皆さんに話したいのは、避難訓練の時と違い、巨大地震に備える防災についてではありません。今から100年前、実際の地震とは別に「誤った情報を震源として起きた人災」についてです。
その人災は、一般に『関東大震災朝鮮人虐殺事件』と言われます。
当時、未曾有の災害(今まで起きたことのない災害)で大混乱に陥った人々の間に、あるデマが流れました。「デマ」とはdemagoguery(デマゴガリィ)という英語の略で「流言飛語」と訳せます。
簡単にいうと「根拠のない噂」といった意味です。少し付け足せば、「悪意をもって意図的に流す根拠のない噂・情報」というニュアンスも含んでいます。
当時流れたデマは、混乱に乗じて朝鮮人が「井戸に毒を入れた」「暴動を起こしている」といった内容でした。デマは、人の口から口へ、つまり「口伝て(くちづて)」で拡散していきました。
そして、そのデマを信じた人々が、在日朝鮮人とみると詰問し、責め立て、挙げ句に集団で暴行して死に至らしめたのです。正確な被害者数は定かではありませんが、1000人から数千人と言われています。
100年後の現在、情報は口伝てでなく、主にSNSで拡散されます。その速さは口伝てとは比べものになりません。まさに「あっという間」に拡散されるのがSNSの利点であり、怖さでもあります。
このSNSについては、Twitter、Facebook、LINE、Instagram等々、皆さんの多くが利用し、使い慣れていることでしょう。そんな皆さんだからこそ、あえて私は100年前の人災に学んでもらいたいと思っています。
例を挙げて説明しましょう。災害関連でいうと、例えば7年前に発生した熊本地震の直後、街の写真にライオンの画像を合成し「動物園から逃げた」とTwitterに投稿されたデマが拡散しました。投稿者は、後に逮捕されています。また、昨年9月の静岡豪雨では、ある高校生が水没した街の様子を画像生成AIで作成し、やはりTwitterに投稿して炎上しました。
SNSを利用する以上、災害時に限らず日頃から、まず皆さんが誤った情報・不適切な情報の発信源になってはいけません。手軽で便利なツールも、発信する情報を間違えれば人の不安を煽ったり、人を深く傷つけたり、人や自分の人生を狂わせたりする危険なツールになってしまうのです。
逆に、受け取った情報のファクトチェック(事実かどうかの検証)も習慣化しなければいけません。具体的には【情報の発信者が誰か確認する】【同じ情報を、他のメディアでも確認する】【『…らしい』『…と思われる』『…!?』といった文末表現の曖昧な情報は必ず疑う】【友達の情報だからという理由で、鵜呑みにしない】等の習慣をつけてください。
100年前の関東大震災から学ぶべきことは、防災の知恵だけではありません。情報の発信者・受信者としてのルールやマナー、情報モラルを学ばなければ、「誤った情報を震源とする人災」は、今後も繰り返されてしまうでしょう。