先日、LAドジャースの大谷翔平選手が、MLB(メジャーリーグ)通算ホームラン日本人最多記録を達成されました。大谷選手は昨シーズンまで所属していたエンジェルスから、今年ドジャースに移籍しています。
その理由の1つが「ドジャースは優勝を狙えるチームだから」と言われています。すでに投手と打者の二刀流で「オンリーワン」を勝ち取った大谷選手が、次は優勝という「ナンバーワン」を手に入れるための移籍だったと言えるかもしれません。
さて、「オンリーワン」と「ナンバーワン」というと、20年前に『世界に一つだけの花』(SMAP)という曲が大ヒットしました。
【ナンバーワンにならなくてもいい。もともと特別なオンリーワン…】で始まるこの曲は、私も大好きです。
※ 続きは、下の『おりたたみ記事』をクリックしてください。
校長講話 ここをクリック
ただし、この曲が流行った当時、一部に「ナンバーワンか、オンリーワンか」と、二項対立をあおるかのような議論があったことには違和感を覚えました。改めてこの曲の、サビの部分を思い出してみてください。
【そうさ、僕らは 世界に一つだけの花 一人ひとり違う種をもつ その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい…】
言われるまでもなく私たちは、誰もが違う種をもって生まれてきました。もって生まれた種が違うのですから、咲かせる花、つまり、能力や個性が違うのも当たり前です。
その種を学校の勉強にたとえるならば、もしかしたら国語分野の種かもしれません。あるいは、数学や英語分野の種かもしれません。音楽や体育、美術分野の種をもって生まれた人もいるでしょう。ただし、それが何の種であれ、共通して言えることが一つあります。
それは、種はそのままでは芽を出さないし、花を咲かせることもないということです。『世界に一つだけの花』の歌詞にもあるとおり花を咲かせるためには、自分の能力や個性に一生懸命磨きをかけなければなりません。
それぞれが得意とする分野、それぞれの好きな分野で、自分をブラッシュアップさせ、花を咲かせるということ…。この「分野」という言葉は、英語で「field(フィールド)」といいます。そして、その「field」には、「競技場」や「競争の場」といった意味もあります。
つまり、一つのフィールドにおいて、良い意味で他者と競い合うことも、自分の能力や個性を開花させることにつながるのです。それは、スポーツに限ったことではありません。文化活動や学習の分野でも、良きライバルの存在は自分を高めてくれることでしょう。
「ナンバーワンでなくていい、オンリーワンであれ」…私も同感です。ただし、もしオンリーワンであろうとするならば、まず自分の得意とする分野=フィールドにおいてはナンバーワンを目指すぐらいの努力が必要だと、私は思います。
前回の朝礼でも話しましたが、その結果ナンバーワンになれなかったとしても、それを目標に積み重ねた努力は、けっして無駄になりません。無駄になるどころか、いつかオンリーワンの花を咲かせる養分になるでしょう。
ちなみに大谷選手が高校時代・日本ハムファイターズ時代に一貫して抱いていた目標は「MLBでトップ選手になる」「今まで存在したことのない選手になる」の2つだったそうです。言い方は違いますが、前者はナンバーワン、後者はオンリーワンを指していることがわかるかと思います。
バラとチューリップ、あるいはヒマワリ、サクラ。そのいずれが一番美しいかを争うことが無意味なのと同じように、国語と体育、数学、音楽など、違うフィールドにあるものと競ってナンバーワンを目指す必要はありません。
ただし、少なくとも自分のフィールドではナンバーワンを目指して努力できる人、そして、いつかその努力によってオンリーワンの存在となれる人、世界に一つだけの花を咲かせられる人であってください。