令和3年度がスタートしました。これからの1年間、こうした儀式的行事や朝礼の場で、皆さんには様々な話をすると思います。ただし、例年決まって同じ話をする、節目の日もあります。
7年生が入学する前、つまり、1学期の始業式も、そんな節目の一つです。といっても、ちょうど1年前はコロナの影響で、私の話は板三中YouTubeチャンネルで配信しました。そのため覚えている9年生は、少ないかもしれません。
例年8・9年生だけに話すこと。それは、アメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディ(写真)という人の残した言葉に関する話です。
ケネディ大統領は1963年、暗殺により46歳という若さでこの世を去りました。そのため大統領を務めた期間は3年足らずですが、歴代大統領の中でも偉大な大統領として常に名前の挙がる人です。
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そのケネディ大統領は大統領になった時、後に「Active Citizen」(アクティブ・シチズン=能動的な市民)と題されるようになった就任演説の中で、次のように国民に訴えかけました。
Ask not what your country can do for you,ask what you can do for your country.
日本語に訳すと【国があなたに何をしてくれるか尋ねてはいけません。あなた自身が国のために何ができるかを、問わなければならないのです】といった意味になるかと思います。
全ての人は、他者との関わりの中で生きています。社会や集団・組織の中で、周囲の影響を受けたり、誰かに支えてもらったり、逆に周囲に影響を与えたり、誰かを支えたりしながら生きているのです。
したがって、自分が幸福に暮らしたい、快適な生活を送りたいと願うのであれば、周囲の人々の幸福や、社会全体の快適な暮らしについても考える必要があります。
学校も、小さな社会であり、組織・集団であります。そこで、先のケネディ大統領の演説にある「国」という言葉を「学校」に置き換え、さらに少しアレンジすると、こんなふうに言えると思います。
【8年生・9年生へと進級した今、これからは学校があなたに何かしてくれるのを、待っているだけではいけません。あなた自身が学校のために何ができるかを考え、行動に移さなければならないのです】
言いたいことは、分かりますね。先生や上級生が、自分のために何かしてくれるのを待つだけの、受動的な生徒であってはいけないということです。板三中を「東京で一番の学校」にするために、自分にできることは何かを考え実践する能動的な生徒であってください。
それは、特別難しいことではありません。
例えば「誰に対しても気持ちよい挨拶をする」「集団生活の時間を守る」「清潔感があり、学習の場にふさわしく、安全な身だしなみをする」「美しい言葉遣いを心がける」「時・場所・相手に応じた姿勢をとる」
…そう、以上はたった一つの校則『Be Gentleman(紳士であれ)』に付記されている『誰もが快適な学校生活を送るための心構え』です。
それらを受動的(受け身)ではなく能動的、つまり、自ら進んで実践するだけでよいのです。その実践は、やがてあなたをジェントルマンに成長させるでしょう。そして、ジェントルマンが増えれば学校全体の質も向上し、快適な集団生活へとつながっていくでしょう。
こうした話は、中学校に入ったばかり、つい数日前まで小学生だった7年生にはできません。だからこそ私はケネディ大統領の演説「Active Citizen」を、8・9年生しかいない今日、1学期始業式の場で紹介しているのです。
皆さんは、8・9年生だから先輩なのではありません。下級生が憧れるようなジェントルマンになって、初めて先輩になれるのです。