令和4年度の修了式です。今から約3年前は、新型コロナウイルスの感染拡大・非常事態宣言の発出・臨時休校と、学校だけでなく社会全体が一種のパニック状態でした。
あれ以来、文字どおり「ウィズ・コロナ(コロナと共に)」の3年間となっています。7・8年生の皆さんにも、様々な不自由と我慢を強いた中学校生活だったことを改めてお詫びします。
と同時に、卒業式で話したとおり、現在の板三中は3年前と比べ全く新しい学校にreborn(リボーン=生まれ変わり・再生)しました。それができたのも、生徒の皆さんと先生方が力を合わせて「前例踏襲」と「慣例慣行」という2つの四字熟語を打破してきたからです。
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「前例踏襲」は「前々からやっていることに倣(なら)って、そのまま受け継ぐこと」という意味です。「慣例慣行」も少し似ていますが、こちらには「ずっと続けてきていて、きまりのようになっていること」といった意味があります。
学校も含め現代社会の多くの組織に、実は非合理的であるにもかかわらず、それを変えようとせず続けている前例があります。実は時代に合わなくなっているにもかかわらず、脈々と受け継いでいる慣例もたくさんあります。
そして、多くの場合それらに共通している「変えない理由」は、「今までが、そうだったから」です。前例踏襲主義や慣例慣行主義の弊害の、最たるものでしょう。
本校がウィズコロナの3年間でrebornできたのは、皆さんと先生方が変化を恐れず、前例にとらわれない発想で、様々な取り組みに挑んできたからです。
8年生は覚えているかもしれませんが、例年、修了式で紹介している言葉があります。NHKサイエンス番組のタイトルにもなっているイギリスの生物学者・ダーウィンという人の言葉です。
9年生理科の教科書『生物の多様性と進化』という単元に出てくるダーウィンは、次の言葉を残しています。
【最も強い者や、最も賢い者が生き残れるのではない。 唯一生き残れるのは、変化できる者だけである】
地球の歴史上最強の生物である恐竜は、気候の変動に適応できずに滅びました。霊長(れいちょう=最も優れた生物)を自負する人類も、今までの価値観を改め、自ら招いた環境悪化への対応を変えなければ、恐竜と同じ運命をたどるでしょう。
同じことが、学校などの組織だけでなく、その構成員である私たちにも言えます。さすがに恐竜のように絶滅はしませんが、私たちも前例にとらわれて変化のきっかけをつかみ損ねると、自分を向上させるチャンスも失うのです。
では、人が変わるきっかけには、何があるでしょう? それは、人や書物との出会いかもしれません。あるいは、一つの成功体験や、逆に失敗体験かもしれません。進級や進学、就職や転勤など、自分の置かれる環境が変わることも、自分を変えるきっかけになり得ます。
また、社会全体が変わらざるを得ない状況をつくりだした現在のコロナ禍も、結果として「変化のきっかけ」になっています。そう考えると私たちは今、rebornのチャンスを迎えているのです。
そのチャンスを前に、過去の自分を「前例・慣例」にし、現状に甘んじていてはいけません。この1年間を省みて、学習・生活の両面で自分に足りなかった点を挙げてみてください。そして、それを改めるため、失敗を恐れず思い切って1歩踏み出しましょう。
時まさに春がやってきました。草木が芽生え生物が活動的になる今こそ「前例踏襲・慣例慣行」を脱し、rebornを遂げてください。
【最も強い者や、最も賢い者が生き残れるのではない。 唯一生き残れるのは、変化できる者だけである】