先日、全国紙の2面を使った大きな新聞広告が目に留まりました。ハリウッドスターのトミー・リー・ジョーンズさんがイメージキャラクターを務める缶コーヒーの、発売30周年記念広告です(写真)。
見開きいっぱいのジョーンズさんと、シンガーソングライター・中島みゆきさんの写真には、クエスチョンマーク形に【なんで人って働くんだっけ?】【地球人、働くのやめちゃったら?】というコピーが被せられています。
宇宙人・ジョーンズが地球を調査するテレビCMの新聞版で、今回登場した中島さんは、ジョーンズを地球に派遣した宇宙大統領を演じています。
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ただ新聞広告には、テレビCMでは流れない宇宙大統領(中島さん)の「つぶやき」らしきものが、やはり2面に渡って掲載されていました。以下、少し長いのですが、全文掲載します。
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考えてみるとフシギよね。なんでわたしたち働くんだっけ?
子どもの頃は「勉強しろ」。大人になったら「就職しろ」。一生懸命働いても「はい定年。もう働かなくていいです」でしょ? 仕事に人生を捧げれば「働き過ぎ」って注意されて。好きなことに打ち込めば「ろくに働きもしないで…」って言われて。どうしてここまで働くことを、生きていく上での大テーマにしちゃったんだろ?
働いているとしんどいこともあるし、報われないこともあるし、試しに一回、みんな働くことをやめちゃったらどうなのかしら?
…って、そんなわけにはいかないよね。働かないとごはん食べられなくなっちゃうし。あなたの仕事で助かっている誰かも、きっといるもんね。見上げれば輝く星。でも、地上の星だっていくつもある。それぞれの持ち場で、人は今日も働くんだよね。
なにこの大変な時代!って思うこと多いよね.最近のこの惑星。「失われた30年」って言葉もあるけど、いちばん失われたのは、もしかしたら安定?
就職したら定年まで。だったのが、転職すっかり当たり前。価値観だってすっかり変わってきている。この30年で、でも変わらないこともあって。それは人が今日も働いているってこと。
世界や社会でなにが起きても、それぞれの持ち場で人は働く。ろくでもない現実は、一時停止も早送りもできない。だから人は、缶コーヒーとか飲んで、まいったなあ…とか言って、一服するのかな。
当たり前の日常を支えているのは、そんなひとりひとりの仕事、なのかもね。ま、わかんないけど。働くのが好きな人も。そうでもない人も。ベタだけど、みんな今日もファ〜イト!
(宇宙大統領みゆき)
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2学期は、全学年で【勤労】をテーマに道徳の授業を行うなど、「職業」について考える機会があります。
他にも7年生は、夏休みに行った「身近な職業調べ」をもとに新聞づくりと発表をします。8年生は、やはり夏休み中に取り組んだ職場体験を振り返ります。9年生も社会(公民)の授業で、経済の仕組みや生産活動について学びます。
そして、その際、学年に関係なく共通して考える問いが「なぜ、人は働くのか」です。
収入を得るため? 正解です。宇宙大統領も【働かないとごはん食べられなくなっちゃう】と呟いていました。社会の役に立つため? それも正解です。やはり宇宙大統領は【あなたの仕事で助かっている誰かも、きっといる】とも言っていました。
ほかにも「自分を成長させるため」「地位や名誉を得るため」「他者とつながるため」など様々な正解がある中で、答えを1つに絞るのは難しいでしょう。
一方、次の宇宙大統領のつぶやきをもう一度読んだ上で、あえて答えを1つに絞ってもらいたい問いを皆さんに投げかけ、私の今日のお話を終わります。
【見上げれば輝く星。でも、地上の星だっていくつもある。それぞれの持ち場で、人は今日も働く】
さて、皆さんにとって一番身近な【地上の星】は、誰ですか?