2015年の国連サミットで採択され、加盟国(193カ国)が2030年までに達成すると約束した17の目標を【SDGs】(持続可能な開発目標)といいます。本校でも「総合的な学習の時間」をはじめ各教科の授業で取り上げています。
その中に【平和と公正をすべての人に】という目標があります。さらにその目標の下に掲げた10のターゲット(具体的な行動指針)のトップには、こう明記されています。
【あらゆる場所で、あらゆる形の暴力と、暴力による死を大きく減らす】
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ここでいう【暴力】とは【あらゆる】と表現していることからもわかるように、腕力や言葉によるものの他、人権侵害や虐待、各種ハラスメント(嫌がらせ)、破壊行為、心理的圧迫、さらにはテロや犯罪行為などにも及びます。
ただし、【死を大きく減らす】ために絶対なくさなければならない【暴力】は、なんと言っても戦争や内戦でしょう。国家間の対立(戦争)と、国内における対立(内戦)という違いはあるにせよ、どちらも武力抗争であることに変わりありません。
そして、武力を用いている以上、多数の【暴力による死】を招いている点も同じです。したがって、ここから先は「戦争」という言葉で統一します。
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今月8日は、日本軍がハワイにあるアメリカの軍事基地を奇襲攻撃し、太平洋戦争が始まってから80年の節目の日でした。この戦争による日本人の犠牲者は、皆さんの歴史の教科書では約310万人としています。
そして、その甚大な【暴力による死】の内訳もそうであったように、戦争によって傷つくのは必ずしも兵士とは限りません。むしろ無力で何の罪もない多くの子どもたちが、何の抵抗もできないままに命を落としているのです。
今も世界には、サンタクロースに願うプレゼントが「戦争の終わり」であるという子どもたちがいます。戦火におびえながら、教会の鐘の音の代わりに聞こえてくる砲弾の音に、耳をふさいでいる子どもたちがいるのです。
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さて、8・9年生は覚えているかもしれませんが、私は2学期の終業式に、3年サイクルである曲を聴いてもらっています。今年は、元ビートルズのジョン・レノンという人の『 Happy Xmas 』という曲を聴いてください。
♪ ♪ ♪ 校長通信4面の歌詞を見ながら、CDを流しました ♪ ♪ ♪
歌詞を見てわかったかと思いますが、この曲の投げかけるメッセージはいたって明快です。
War is over,if you want it.War is over now …
(戦争は終わるよ、もし君がそれを望むなら。戦争は終わるよ、今すぐに)
大変わかりやすいメッセージだと思いませんか? どんな理由をつけたとしても、戦争は人間が起こすのです。したがって、人間が歴史に学ぶ謙虚な姿勢と、過ちは二度と繰り返さないという強い覚悟をもてば、戦争など起こらないはずなのです。
また、今起きている大小さまざまな戦争も、その終わりを一人でも多くの人が強く、強く、強く願い続ければ終わらせることができると、私は信じています。
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9年生の国語の教科書に載っている『故郷』という小説は、最後を次のように締めくくっています。
【希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ】
皆さん一人一人が【あらゆる場所で、あらゆる形の暴力と、暴力による死を大きく減らす】という世界の約束を守るための「希望」です。その自覚をもって、私たち大人の世代がつくれなかった道、「戦争のない世界」という道を、切り拓いてくれるよう願います。
どうか良い年を迎えてください。