全9作からなる「ムーミン」シリーズは、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンによって1945年に刊行されました。今年は第1作が出版されて80年の節目の年ということで、この夏「トーベとムーミン展」がアートギャラリーで開催され、私も行ってきました。
それほど好きなのは、小学生時代に触れた登場人物たちの言葉が、今なお私の心に刻まれているからです。主人公であるムーミン・トロールの言葉、人生の年輪を重ねたムーミン・パパの言葉、哲学的な教訓の多い旅人スナフキンの言葉…。
私の本棚には9冊のシリーズ本だけでなく、登場人物別の「名言集」も並んでいます。その中でも私の1番のお気に入りは、リトルミイ(ちびっ子ミイ)という登場人物の名言集です(写真は、アートギャラリーに展示されていたリトルミイの原画ですが、撮影もSNS転載も許可されています)。
歯に衣着せぬものの言い方は、時に意地悪や皮肉屋とも誤解されますが、その言葉の裏には不器用な優しさや、何気ない思いやりが込められているように思うのです。
いくつか紹介ましょう。
まず、年頃だった中高生時代、自分の外見や内面について、回りの目を気にしてばかりいた私が、気に入っていた言葉です。
【縛らないことよ。自分で自分を。私は可愛い、私はブス。私は賢い、私はバカ。私はモテる、私はモテない…。あなた、すぐ自分を何かに決めつけようとするでしょ。本当の自分を見つけるのは、もっとずっとずっと先の話。今することは、一生懸命迷うことよ】
次に、大学を卒業しても就職せず、アルバイト生活を送っていた私が、気に入っていた言葉です。
【あなたね、決断力がないんじゃなくて、決断する方法を知らないだけよ。あのね、良いほうを選ぶんじゃなくて、あなたが思うほうを選ぶのよ。最初はいろいろ失敗するわよ、あなたバカなんだから。でも、そのうち良いほうを選ぶようになっていくわよ。最初からうまくやろうなんて、自惚れてるんじゃないわよ】
その後、教員として最初に勤めた学校で、毎日日付が変わる頃まで学校に残って仕事をしていた私が、気に入っていた言葉です。
【忙しい、忙しいって言う人いるじゃない。きっと頑張ってるわねって、褒めてほしいのよ。だから、こう言ってあげたほうがいいわ。時間の使い方が下手ねって】
そして現在、校長として常に「東京で1番」を夢に掲げてきた私が、気に入っている言葉です。
【あなたの夢を、そんなこと無理だって言う人いるでしょ。こう言い返してやりなさい。あなたには無理ね。でも、私にはできるの、あなたと私は違うからって。でも、言ったからには、夢を叶えなきゃいけないことも覚えておきなさいよ。でかい口叩くんだから】