一般社会で組織が意思決定する方法は、大きく2つあります。1つはトップダウンと呼ばれる方法で、立場的に上位にいる者が方針を決めたり指示を出したりするやり方です。日本語では「上意下達」という言葉が当てはまるかもしれません。
もう1つの方法は、ボトムアップと呼ばれます。トップダウンとは逆に、組織構成員の提案や意見を広く採用するやり方です。こちらも四字熟語に言い換えれば「下意上達」となります。
学校、細かくいうと職員室も、1つの組織です。その組織には、生徒である皆さんの学力を向上させたり、皆さんの健全な心と体を育成したり、皆さんの生活を支援したりするといった目標があります。
ですから、学校における意思決定とは、それらの目標を達成する最善策を決めるということなのです。
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皆さんに読み解く力を養ってもらいたいので、わざと難しい言い方をしてきました。ここからは、少しわかりやすく話しましょう。
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板橋第三中学校には2年前に改定された新しい教育目標【学ぶ・鍛える・思いやる】があります。その目標を達成するため、先生方は日々どのような教育活動を行えばよいかを考え、話し合い、決めたことを実行しています。
言うまでもなくそれらの中には、私(校長)が方針を決め先生方に実行してもらっていることが、たくさんあります。つまり、トップダウン(上意下達)による教育活動です。
しかし、それだけではありません。先生方から出された素晴らしい提案により行われている、つまり、ボトムアップ(下意上達)で実践している教育活動も、けっして少なくないのです。
例えば、1月下旬から皆さんのChromebook(各Classroom)に『ほうれんそうフォーム』という新しいフォームが貼り付けられています。『ほうれんそう』とは『報告・連絡・相談』の各頭文字をとった名称です。この新たな取り組みは、私(校長)ではなく先生方からの提案で実現しました。
その提案は、こうでした。
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【新型コロナ第6波の感染拡大により、様々な理由で学校に来られない生徒が増えている。そうした生徒への学習支援は、これまでどおり授業配信で補えているが、一人ひとりの悩みや不安・心配事に寄り添う生活支援は十分とは言えない。夏休みや冬休みに行ったフォームアンケートを日常生活版に作り直し、少しでも生徒に寄り添うツールとして使ってはどうか】
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もちろん、そのような素敵な提案に私が反対する理由はありません。ただし、1つ心配なことがありました。それは、ただでさえコロナ対応で神経をすり減らしている先生方が、新たなルーティン(日常的業務)を導入することで、ますます疲弊してしまうのではないかということです。
しかし、そんな私の心配に対する先生方の答えは、きわめて単純明快でした。
【生徒のためですから】
『ほうれんそうフォーム』は、早速先週の都立高推薦入試・合格発表で効果を発揮しました。受検した皆さんは、Chromebookを使ってネットで確認した合否結果を、家庭から『ほうれんそうフォーム』で送信してくれました。
そして、結果に応じたその後の自分の予定や、先生に相談したいこと等を伝えてきてくれたのです。そのおかげで先生方も、発表わずか20〜30分後にはほぼ全員の合否結果を把握し、進路相談の準備や、次の出願書類の確認に取りかかることができました。電話による報告や問い合わせが集中して繋がらないということなど、皆無でした。
このように板三中の先生方は、親身になって皆さんのことを考え、皆さんに寄り添おうとしています。その象徴の1つでもある『ほうれんそうフォーム』を、遠慮なく有効利用してください。