第43回入学式 学校長式辞(全文)
うららかな春の光の中、入学を祝うプランターのチューリップが美しく咲き始めています。風光るこの佳き日に、板橋区議会議員 荒川なお 様をはじめ、本校コミュニティ・スクール委員の皆様、地域関係者・学校関係者の皆様、そして新入生の保護者の皆様にご臨席賜り、第43回入学式を挙行できますことを、心より感謝申し上げます。
139名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。新たな学校生活への期待や希望に胸をふくらませ、今日の日を迎えたことと思います。私は校長の溝口千里です。これからどうぞよろしくお願いします。
皆さんは、今日から志村第五中学校の生徒です。8年生・9年生の上級生や先生方をはじめ、志村五中に関わるすべての人が、皆さんの入学を心待ちにし、精一杯の準備をして今日を迎えました。
先ほど、先生から一人ひとりの名前が呼ばれたとき、背筋を真っすぐに伸ばし、しっかりとした声で返事をする皆さんの姿に、「今日から中学校生活をがんばろう」という意気込みが感じられました。皆さんがきっと素敵な中学生になってくれることを、私は大いに期待しています。
これから始まる学級活動や部活動、委員会活動を、どうか大切にしてください。居心地のよい学級や学校であれば、友達や先輩と切磋琢磨しながら、お互いに成長し合うことができます。一日も早く中学校生活に慣れ、充実した毎日を送ってください。志村五中の一員として、どんな成長を見せてくれるのか、皆さんの活躍が今から楽しみです。
さて、スタートラインに立った皆さんに、今日は「目標をもつこと」の大切さについてお話しします。
北海道を本拠地とするプロ野球チーム、北海道日本ハムファイターズをご存じでしょうか。この球団には、メジャーリーグで活躍するダルビッシュ有選手や大谷翔平選手が、夢をもって入団し、やがて世界に羽ばたいていきました。
この球団には「チャレンジ・ウィズ・ドリーム(夢に向かって挑戦する人を応援し、共に歩む)」という企業理念があります。企業理念とは、その会社が大切にしている考え方やめざす方向を示すものです。たとえば、学校に「勉強をがんばろう」「みんな仲良くしよう」といった目標があるように、会社にも「社会にどのように貢献するか」「どんな価値を届けたいか」といった目標があります。
では、なぜ学校や会社にそのような目標が必要なのでしょうか。
一つめの理由は、「みんなで同じ方向を向くため」です。多くの人が関わる場所では、目標があることで気持ちが一つになり、協力し合うことができます。
二つめは、「社会に貢献するため」です。たとえば、あるおもちゃ会社が「世界中の子どもたちを笑顔にする」という理念を掲げていたら、安全で楽しいおもちゃをつくることに力を注ぐでしょう。また、あるレストランが「お客様に最高の食事とサービスを届ける」という理念をもっていたら、おいしさだけでなく、心地よい接客にも力を入れるはずです。
このように、企業理念は「会社の心の目標」ともいえるものです。目標があることで、自分たちが何のために、どのように行動すべきかが明確になります。
皆さんが今日から通う志村五中にも、全体の目標があります。それは、教育目標の前文にあるとおり、「夢に向かって全力を尽くし、社会に貢献しようとする自立した人になること」です。
この目標は、ファイターズの企業理念「チャレンジ・ウィズ・ドリーム」とも重なります。夢に向かって挑戦し続ける姿勢、そして誰かと共に歩もうとする気持ち。挑戦には、失敗もあるかもしれません。でも、挑戦しなければ成功はありません。失敗を恐れず、一歩一歩前に進んでいく中にこそ、本当の成長があります。
皆さんも、志村五中の一員として、自分なりの目標をもち、夢に向かって全力で歩んでいってください。これからの三年間が、皆さんにとってかけがえのない時間となることを心から願っています。
最後に、保護者の皆様に一言ご挨拶申し上げます。本日は、お子様のご入学、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げますとともに、これまでお子様を健やかに育ててこられたことに、深く敬意を表します。
これからの3年間は、思春期を迎えるお子様と向き合う大切な時期となります。子どもたちは皆、主体性をもっています。その主体性を、保護者の皆様と教職員が力を合わせて育み、花開かせていきましょう。志村第五中学校の教職員は、お子様の可能性を広げるために、保護者の皆様の良きパートナーでありたいと願っています。
子どもたち、保護者の皆様、地域、教職員が力を合わせ、志五中の良さを語れる、そんな素晴らしい三年間をともに築いていけることを祈念し、式辞といたします。
令和七年四月八日
板橋区立志村第五中学校長 溝口 千里