私にとって、新聞を読むことはルーティン(日課)です。さらに言うと、どの紙面から読むかという順番も決まっています。しかし、年に2回だけその順番を違えて、ある洋酒メーカーの大きな新聞広告を探し、そこから読み始める日があります。
1日は『成人の日』、もう1日は4月1日です。両日とも作家の伊集院静さんが、『成人の日』はその年の新成人(お酒を飲めるようになった二十歳)に向け、4月1日はこの日から新社会人となる若者に向け、メッセージを投げかける広告が載るのです。
新成人でも新社会人でもない私は、毎年そのメッセージに共感し、同時に励まされています。今年は、4月1日が土曜日だったので、3日の月曜日に『ハチャメチャでもかまわない。挑む人になれ。』と題された大きな広告が掲載されていました。
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お酒を飲める新社会人に向けたメッセージなので、中学生に合うようにアレンジして紹介し、私から皆さんへのメッセージに代えたいと思います。
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新しい学年・学校への進級・進学おめでとう。今日、君はどの学年で、どんなクラスに立っていますか。どんなクラスであれ、そこが君の新しい学校生活の出発点だ。どんな勉強をしたいかい? どんな中学生になりたいですか? 君たちは何にだってなれるし、どんな活動にも挑戦できる。
私たちは男女の格差などない、学力偏重のないスタートラインを引いて、君たちを待っています。君たちは今、鉄で言えば情熱という熱であふれた原石です。どんなカタチにも、どんな大きさにもなれる。
挑むことは可能性への第一歩だ。可能性とは今の世界を変える力だ。今の世界ではダメだと皆気付いている。戦争は人間の最大の愚行だ。人の苦しみを無視してはいけない。変える力が必要なんだ。
変える力の源泉は、勇気だ。いつくしみだ。社会も、学校も変化を望んでいるのだ。そのためには挑む人になれ。少々ハチャメチャだってかまわない。そういう姿勢が大切なんだ。人からの評価や、成績だけが目標じゃダメだ。
君の歩む道には光が残る。光る軌跡が見える。その道が追い風とむかい風なら、断然、むかい風を選べ。苦しいこと、辛いことを知ることは、君に力を与える。変える力を手に入れろ。力を持つための勇気を掴め。
一日歩いて疲れたら、立ち上がって空を仰げ。そこには君と同じ挑戦をした若者の軌跡が星となって輝いている。さあ、勇気を掴んだ拳に希望という光があふれ出すぞ。拳を上げよう。
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新しい世界に飛び込んだ人に、挑む人になってほしいという思いは、伊集院さんも私も全く同じです。1度読んでその思いが伝わらなければ、ぜひ2度3度と読み返してください。
さて、話は変わりますが、本校では全校朝礼をこうしてリモートで行っています。当初の理由は、感染症対策でした。しかし、感染症がある程度収まってきてからも、この形態を継続している理由は、大きく3つあります。
その1つは、時間の短縮です。全校生徒が体育館と教室の間を往復したり、「前へならえ」を繰り返して整列したりする時間等を削減することで、1時間目の授業時間を確保したいからです。
2つめの理由は、様々な特性や身体的課題により、大きな集団の中で長い時間立っていられない人や、じっと話を聞いていることが苦手な人もいるからです。
そしてもう1つは、こうして講話全文を掲載した『校長通信』を配付することにあります。講話を文字(目)と音声(耳)でInputすることで、内容の理解はもちろん本校で力を入れている「読み解く力」の育成に役立ててほしいからです。
そのため私は、校長通信で意識的に少し難しい言葉を使ったり、指示語や係り受けを考えさせる表現も用いたりしています。ぜひ「読み解く力」を育てるためにも、やはり2度3度と読み返してくれたら、幸いです。