東京染小紋ができるまで


1.地紙を作る
 3枚の和紙(わし)を柿(かき)しぶを使って重ね合わせて作ったものが地紙(じがみ)1枚になります。


2.型紙を作る
 地紙(じがみ)8枚〜10枚を重ねて長さ13cm・幅(はば)40cmの間に同時に彫(ほ)ります。「突き彫り(つきぼり)」・「切り彫り(きりぼり)」・「引き彫り(ひきぼり)」・「道具彫り(どうぐぼり)」などいろいろな彫(ほ)り方をそれぞれの彫刻刀(ちょうこくとう)を使って行い、美しい柄(がら)を彫っていきます。なかには、細かい柄(がら)で、3cm×3cmの正方形に800〜1000個の穴をあけるものもあります。 こうした型彫り(かたぼり)の模様(もよう)が、すばらしい小紋(こもん)を作り出します。
★ 型紙は、ほとんど伊勢(いせ…今の三重県)で作られており、小林さんたち染め師(そめし)※1は、そこの彫師(ほりし)※2型紙商(かたがみしょう)※3 からいろいろな種類(しゅるい)の型紙(かたがみ)を買い、これらを使って生地(きじ)を染めています。
 ※1 型紙を使って生地(きじ)を染める職人
 ※2 型紙(かたがみ)を彫る(ほる)職人(しょくにん)

 ※3 型紙を売る人
→型紙作りについて、くわしく知りたい人は「伊勢型紙の達人に聞く」のホームページ


3.型紙を使って生地を染める ※くわしくは下のページを見てみよう
 取材(しゅざい)でうかがった小林さんは、東京染小紋を作る仕事のうち、この染めの仕事をおこなっています。小林さんは、手作業で染めの仕事をしています。手作業による染めを行なう染め師(そめし)は、現在(げんざい)東京に5人ほどしかいないそうです。
 以下にくわしく「生地(きじ)を染める」仕事を紹介(しょうかい)します。



型紙を使って生地を染める仕事


@ 色の調整(ちょうせい) ・・・ 染料を調合(ちょうごう)してめざす色を作ります。
 
 色のりは染め上がりのできばえを左右する大事なものです。はじめにもち粉(こ)と米ぬかと塩(しお)をまぜ合わせて蒸(む)し、よくねった「もとのり」に染料(せんりょう)を入れ、試験染め(しけんぞめ)をしながら慎重(しんちょう)に作ります。



A 型つけ [なっせん] ・・・ 長い板に白生地(しろきじ)を張り、その上に型紙(かたがみ)をのせ、ヘラで型つけのりを置(お)いていきます。
こののりは、染料(せんりょう)を生地(きじ)にしみこませないはたらきをします。
 のちに生地(きじ)全体に染料(せんりょう)を塗(ぬ)ったときに、こののり付けした部分だけが染まらず、染めた後にのりを洗い落とすと、のりのついていたところだけが白い模様(もよう)となってあらわれ、美しい柄(がら)になります。


   ※この作業が一番重要(じゅうよう)といわれています。
もっとくわしく「型つけ」の仕事を知りたい人はこちら


B 板干し ・・・ 型つけした生地(きじ)を、はり板のまま天日(てんぴ…太陽の光のこと)で干(ほ)し、のりをかわかします。

 多色の柄(がら)は、くり返し「型つけ」をします。こうすることで、よりあざやかな柄に仕上げることができます。



 
C 地色染め ・・・ のりがかわいたら、生地(きじ)板からはずし、@で調合(ちょうごう)した染料(せんりょう)をまぜた色のりを、大きなヘラで、型つけが終わった生地(きじ)全体にぬりつけます。

 これを「しごき」ともいいます。


D 蒸し(むし) ・・・ Cで塗(ぬ)った色のりが乾(かわ)かないうちに、生地(きじ)を蒸し箱(むしばこ)に入れ、90℃〜100℃で15〜30分くらい蒸(む)し、染料を定着(ていちゃく)させます。

 蒸し加減(かげん)は、熟練(じゅくれん)を必要(ひつよう)とします。


E 水元(みずもと) ・・・ 蒸(む)し上がった生地(きじ)は、たっぷりの清水(しみず…昔は川の水でしたが、今は地下水を使っています)で、のりや余分(よぶん)な染料(せんりょう)を洗い落とします。

 「水洗(あら)い」ともよばれています。小林さんの工場では、このような機械(きかい)を使わずに、手作業でおこなっています。


F ゆのし ・・・ 水洗いされた生地(きじ)をかわかした後、蒸気(じょうき)に当てて生地の幅(はば…ちじみやのびのこと)を調節(ちょうせつ)します。


G 仕上げ・地直し ・・・ 最後に全体を見て染めムラ(染まり方のばらつき)などを直します。


H 完成 ・・・ 東京染小紋の染め上がりです。この後、着物などに仕立て上げられます。
完成(かんせい)した作品 拡大(かくだい)した柄(がら) ※左の作品とは別のものです

→その他の完成(かんせい)した作品をみたい人はこちら


(東京染小紋のトップへ)